La campanella 「〜、そんな怒らないでよお!」 「怒ってないわよ。」 「え、絶対嘘!」 「いいえ、私はそんなことで怒るほど子供じみてないわ。」 「それならいいけど…。」 ファミレスに向かう途中の道だ。困ったように右横にぴったりつく島尾と、逃げないように左側に仁王。 前のほうで切原と丸井と桑原がじゃれている。 そうそう、フルネームで呼ぶの面倒くさいから全員苗字で呼ぶことにした。柳に、フルネームじゃ面倒くさいだろうから普通に呼び捨てで構わないといわれたからだ。その代わりテニス部はテニス部で私のことを好きなように呼ぶつもりだといわれたが、いきなりと呼んでくるような常識外れは丸井と幸村しか存在しなかったらしく他はやさん。どうであれ、友達になったつもりは私にはまだ無い。 ファミレスは立海大から近く歩いて5分とかからない、結構地味なところにあるために着いて待つことなく大人数用の席へと案内された。6×6の広いテーブルと、全席ソファの席だ。 もちろん無理矢理連れてこられた私は座る場所くらい優先してもらってもバチは当たらないはずだ、と勝手に一番奥へと座り、その横を幸村が座った。ちなみに私の前は真田だ。その横に島尾、そのまた横に丸井が座っている。 「真田、足元に楽器置くけどくれぐれも蹴らないでね。」 「あ、あぁ、わかった。」 かばんは後ろに置けるけどトランペットケースは分厚いために後ろに置けない。 なので足元に置くことにしたが、もし蹴られでもしたら困るので先に忠告しておくほうが良い。良かった、前が真田で。これが切原みたいな元気な少年だったら何されるかわからない。 トランペットケースを足元に置こうとすれば、「それってのトランペットだろぃ?」と丸井が言う。 「えぇ、そうだけど。」 「なあ、一回触らせてほいいんだけど!」 「あ、俺も触ってみたいっス!」 丸井に便乗して切原までもが言うもんだから「いや」と即答で却下して足元に置いた。両足の内っ側だ。 「えーなんでだよ、ケチ!」 島尾がハラハラして私と丸井のやり取りを見ている。それは私が田垣外みたいな優しい人間では無いから、いつ私がきつい事いうかハラハラして言うんだと思う。そしてちょっとうるさい二人に真田が怒鳴る。 「バカじゃないの?」と私が言うとお冷を持ってきていたウェイトレスが自分のことを言われたと思って固まってしまい、すぐさま柳生があなたのことではないですよ、とフォローした。 「ちぇっ、冷たいやつー。」 冷たくて結構。冷たいじゃなくてクールと言ってくれるかしら?と言い返しながら幸村が皆に見えるように開いているメニューを覗き込み、言葉を続ける。 「こんなところで私たち吹奏楽部の楽器に触ろうなんて100年早いわ。」 メニューの一番最後のページを自分が少し確認できるように小さくだけ開いてドリンクバーがあるのを確認して手を放す。幸村が見る?と言ってくれたがもうメニューは決まったので遠慮し、チラリと丸井を見ると私に不満があるようなのでさらに言葉を続けた。 「楽器はテニスラケットと違うのよ。」 「なんだよそれ、テニスのラケットと何が違うんだよ。」 「その部活で必要なものには変わりないけどね、繊細さが違うわけよ。」 そういえば、言ってる意味が解らないというように首をかしげた。 「ラケットは繊細じゃなくて楽器は繊細だとでも言いたいのかよ。」 「ええ、そうよ。潰れたからってすぐに買える物じゃないの。投げたり蹴飛ばしたり弾き飛ばされたりしても頑丈なラケットとは違うのよ。」 「何言ってんだよ、俺のラケットは4万はするぜぃ!」 「あらそう、相場がわからないからわからないけど値段でいえばうちの部の一番安い楽器16万円ね。テニスボールの3つ分程度の大きさ。うちの部の楽器の金額を合計したら軽く3千700万を超えるよ。」 「うげっ…。」 「さんぜんななひゃくまん…。」 「諦めなよ丸井、赤也。人の大事なものに簡単に触っちゃいけないよ。」 幸村がそう微笑むとやっと丸井と切原は諦めたようだ。 「テニスラケットみたいに一人が何本も常備したり、新しいの発売されたから買いに行こう!ってできるほど安く無いからこそ、とても大切に扱わないといけない。 一つのものをしっかり大事にして使って、引退の時には後輩に引き継いでいく。使ってる間はその人の相棒なわけ。内の部員殆どが我が子のように名前までつけて可愛がってるよ。部室に20年前に買ったと思われる楽器もまだあったと思うな。さすがに無傷じゃないけど。 楽器はね、指紋がつくだけで色が変わってしまうものもあるし、落とせばもうすぐに傷つくしへこむ、ほんの少しのへこみだけで音色は変わってしまう。毎日のようにしっかり手入れをしないととんでもないことになるの。真っ黒に黒ずんだり。 私のトランペットは65万円。部のじゃなくて私物で、もう相棒のようなものなの。下手に触ってへこませてしまったらどうする?まだその年で65万円も借金を背負いたくないでしょ?」 もし潰したら全額弁償させる、と言いたいことを理解してくれたのか顔を真っ青にしてしまった。 「まあ、そんなに楽器に触ってみたいなら放課後音楽室にきなよ。練習終わってからなら少しくらい触らせてあげるし。音楽室なら吹かせてあげてもいいよ。」 と、私のその言葉に二人の顔がぱぁっと明るくなって「絶対今度行くから!」と笑った。どんなけ楽器に触りたいんだ、子供か。 「まじ!?全員で来てよ!本当、来てくれたほうがあたしも嬉しいから!」と、島尾までもが爛々と目を輝かせた。あんたのお目当ては幸村でしょうが。 でも、うちの部にテニス部ファン何人居るんだろう…?場合によってはパニックになったりして。まあ…練習終わったあとだし大丈夫か。 「は確かに部長だが、勝手に自分以外の楽器触ってもいいのか?」と柳が聞いてきたのでそれに答えようとしたら、いまだ興奮が冷めない島尾が変わりに答えてくれた。 「は全楽器を触ることができるから皆から信頼されてる!ってそれ以前に部室にある楽器、ほとんど去年一昨年購入したんだけど、それ全部が寄付したんだよ。」 「は?」 「さんぜんごひゃくまん?」 「うーん、三千二百万くらいかな?のポケットマネー!すごいでしょ?」 にこっと笑い島尾が言えば丸井と切原と桑原は声を上げて驚き、全員が私のほうを何者だという目で見たので、居心地が悪くなって選びもしないメニューへと目を落とし、ベルを押した。 それくらい、私の貯金というか…訳あって一人暮らし同然の暮らしをしている私に毎月母から振り込まれる数百万という多額のお金や、優勝賞金やコンサートのギャラなどですぐにたまるものだけれど。 ご注文はいかがなさいますか?と、笑顔を貼り付けた店員がやってきたので一旦その話はおしまい。 真田は健康和食御膳でも頼むのかと思っていたのに意外にボリューム満点ステーキセットで、ちょっと笑いそうになった。真田の口から「ボリューム満点ステーキセット」なんて言葉出てくるなんて思いもしないんだもの。がっつくところなんて全然想像出来ないわ。 幸村は海の幸定食のご飯大盛り、仁王はサンドウィッチ、柳生はオムライスとグラタンのセット、あとの皆はずっしり焼肉定食。丸井はさらにデラックスパフェなんか頼んでいる。 ていうか、皆いっぱい頼みすぎて引く。中学生の男子ってこんなに食べるんだ。各自ボリュームのあるメニューを選んでおきながら、さらにサイドメニューのフライドポテトやから揚げとか食べるみたいでどんどん注文していく。聞いてるだけで吐きそう。 「あたし和風ハンバーグのライスセットで!はいつものだよね。」 「うん、そうしておいて。」 「わかった!みんなドリンクバーいるよね?ドリンクバー10個で!以上です!」 と最後に島尾が言い、店員が注文を繰り返し戻っていった。早速皆ドリンクバーを入れに行くことになったが席を立つ島尾に声をかける。 「島尾、いつものよろしく。」つまり…いれてこい!ということで、仕方なさそうに島尾はドリンクバーのほうへ向かっていった。 なんとなく見えてくる主従関係に周りはおかしそうに笑う。 ずっと前…アンサンブルコンテストの県大会時代から練習が遅くなると今日居残り練習した8人でよくこことは別のファミレスへといったもんだ。そのときから私はこういうところで食事を取ることをせず、ドリンクバーの野菜ジュースもしくは100%ジュース。 これは自分の意思ではなくて、気まぐれでご飯を食べないというひどい偏食家の私を心配した周りからの強制。 周りというのは他の7人だけじゃなくて3年生25人全員の強制。あまりの偏食っぷりに最初は呆れられたもんだ。ドリンクバーで飲まされるだけでなく、毎日昼ごはんも食べないので、野菜ジュースか栄養補助飲料もしくは栄養補助食品を強制される。毎朝同じクラスの部員に野菜ジュースなどが入ってるかチェックされるのだ。本当はブラックコーヒーが飲みたいのだけど、取り上げられてしまいどうしてか野菜ジュースを飲むオチになってしまうために、いい加減野菜ジュースが好きになった。 無意識のうちに灰皿に手を伸ばしそうになり、慌てて引っ込める。 野菜ジュースをなみなみ入れてくれた島尾にお礼をし、皆で乾杯をする。何の乾杯かちょっとわからないけど。 「はそれしか頼んでいないのか?」 真田はウーロン茶のグラスを片手に握りしめ、さっき私が何も注文してなかったのを思い出したのか、私のグラスを見つめて聞いてきた。 まさかそこを突っ込まれるとは思わなかったので、返答を用意していない。頼んでいた唐揚げと大盛りフライドポテトがやってきた。 「まあね。」 「晩御飯は食べないつもりなのか?」 「うん。」 「親御さんが用意してくれているとかか?」 「違う。私が要らないだけ。」 「腹は減らんのか。」 「うん。」 「ちゃんと食べているのか。」 まってよ、私すごい尋問されてる気分なんだけど。止まらない尋問にため息をつく。 「こんなに細い腕をして、しっかり食わんと倒れるぞ。」と真田が私の右手首をリストバンドの上から掴んで細さを確かめたので慌てて引っ込めた。なんてことをしてくれるんだと言う気持ちをたっぷり込めて真田を見た。 「す、すまない。」 私の慌てっぷりに驚いたのか彼は謝ったので、大丈夫だと答える。そりゃ手首を掴んだだけでこんな慌てられたら女慣れしてなさそうな真田じゃなくても驚くと思う。まあ、男慣れして無いからビックリした、といか言う純情な理由ではないけれど…。とにかく右腕には触れないで欲しい。 「でもね、。真田が言うことも一理あるよ。今日だってあんなに走ってただろ?それだけじゃ倒れてしまうよ。」 そういえば幸村は2年の冬に病気で倒れたと聞いたことがある。だから余計に体調の変化には敏感なのだろう。それに、私も幸村も優秀な部の部長なのだから気にかける気持ちもわかるけど…。 「ってば、超偏食家で誰かが注意しないと何も食べようとしなくってさ!…注意しても食べないんだけど。だから部の3年で野菜ジュースとか栄養補助食品とか強制にしてるの。最初は野菜ジュースすら全然飲まないんだもん、1年のとき貧血で倒れたときはどうなるかと思った。」 唇をとんがらせて島尾が言うので、少し気まずく、目線を外へとやった。私だって好き嫌いで食べないんじゃ、無い。 やっぱり変わっているな、と柳の声が聞こえたので睨むが、幸村が邪魔で私の視線が彼に届くことは無かった。 「ほら、部長なんだから部員に心配かけちゃいけないね。少しでも食べなよ?」 フォークに刺された唐揚げを口元まで持ってこられ顔を背けて断ろうとしたが、さらに口元まで持ってこられ要らないと言わせない笑顔をされてしまい、一つくらいなら食べても平気かと思ってしぶしぶ口をあける。こら島尾、羨ましそうにこっちを見るな、こっちは餌付けされてるみたいで不愉快。この光景を見てムっとしている幸村の横の柳の横の柳生の横の仁王には誰も気づかない。 ファミレスの唐揚げは油っぽくてこれこそ不健康な食べ物なので嫌いだ。 口の中の油っぽさを流すために野菜ジュースを一口飲んだ。もう本当に要らない。 幸村を睨めばにっこりと微笑み返された。本当に帰りたい。 「あ、そうだ島尾。これ今のうちに渡しおくわ。」と、かばんの中のクリアファイルを渡すと、何これ?と中にはいってる5枚の楽譜と何も書かれていない五線譜の束を見て首をかしげた。 「あ、それね今年の自由曲の原本。今日のお昼の休憩の時にできたの。今晩パートに分けて写譜しようと思ってたんだけど誰かのせいでできそうに無いから。」 「え゙っ…。」 写譜、というのは簡単に言えば楽譜と写すこと。島尾の持つ楽譜に興味を示したのか、横から覗き込んだ丸井や真田はごちゃごちゃした難しそうな楽譜を見ても意味が解らないのか「げっ!意味不明!」と顔をしかめたり無言で見つめたりしている。 「それね、全楽器分混じった完成版だけどトランペットの分だけでいいの。マーカーで1st2nd3rdに分けて解りやすくしてるから簡単でしょ?期限は明日だからよろしく。」 「ええええ!のほうが絶対綺麗にできるじゃあん!」泣きそうな顔をするが容赦はしない。 「俺も見せてもらってもいいだろうか?」と聞いてくる柳に「別に構わないよ、綺麗に写して無いから汚いけど。」といい、興味深そうに見つめお約束のように幸村やその横に座る柳生や仁王などが覗き込む。 テニス部でまわし読み?したって吹奏楽とかやってないとすぐにわかるようなものじゃないんだけど。音楽の教科書に載ってる様な簡単な曲じゃないんだから。 「これはが作った曲なのか?」 「あたりまえじゃない!は作曲も凄いんだから!」 「へえ!やっぱ先輩ってすっげえ!」 「そうだね、しかも綺麗にかけてるし、って才能あるね。」 「当たり前でしょう、私なんだから。」 私は天才音楽家といわれているが、「天才」というのが私の異名というわけではない。天才というのは称号にしか過ぎなくて、天才を呼び名にするには普通すぎて気に食わないし、天才ゆえに私を知る人の間で呼ばれている異名はしっかりとある。 「ドナンダーの子」 ドナンダーとは、神話で「宇宙の音楽の神。音楽の高神。」とされている神だ。つまり言ってしまえば神の子。ドナンダーの子では少し長いために神の子と略されることが多い。 ぶっちゃけドナンダーっていう名前がどうなんだと思いそんな嬉しくない。どうせなら他の、音楽の神とされるラルフォリサスのほうが名前的に良かったけど。 何が一番嬉しくないかといえば、神の子なら今現在私の右隣に座っているからである。まあ横にいるのはテニス界の神の子だけど。同じ異名は二人といらない。 「明日放課後までにできるかな…。」 顔をいまだ青くしてボソッと呟いた島尾が考えてることはわかっている。 「この中に3年F組居ない?」 「俺がそうだが。」 私が聞けば柳がF組だと言う。これは心強い。 「島尾が授業中に内職しないように見張って欲しいんだけど。」 「解った。注意しておこう。」 島尾のテストの成績は下の下だ。ほんとうにひどい。ただでさえ危うい成績なのに写譜なんかしてみろ、1時間の授業も命取りになる。 の鬼!とか聞こえてくるが無視。これも島尾のために言ってあげてるんだから感謝しなさい。 テスト前に泣きついてこられるこっちのみにもなってよ、本当。 □□□ 暫くして次々と料理が運ばれて私の気分の悪さはマックスにまで達そうとしている。 物心ついたときには綺麗なドレスを着て舞台に立ち、注目される世界で生きてきた私は必要以上に自分の見た目を気にするようになっていた。 特に舞台に立つとき。 「何をどんなけ綺麗に美しく演奏しようにも、その前に自分という人間の見た目も美しくないといけない。 何故なら演奏する音も、ソレを奏でる人間も二つ揃って美しくてこそ、客を虜にできるからだ。」 という世界で活躍するヴァイオリニストの母からの教えがあり、私は普通の人よりもプロポーションを気にするようになってしまった。自意識過剰じゃない、プレッシャーという類でだ。1kg増えたら2kgやせる…これが私の当たり前となっていた。 どれだけプロポーションを保っていても自分が醜く思えてきて、もっと痩せなきゃという思いしかなくて。 それと加え、家庭のいざこざなどでのストレスなどで気づいたときには摂食障害を起こし、何も食べることができなくなっていた。 169cmという身長を持ちながら一時は30キロ代になってしまったこともあるが、少しずつ今は改善されていって44キロまで戻った。少しなら食べることもできるようになってきた。 ちなみにこの病気を知っているのは副部長の田垣外と高見だけ。 「ねえ幸村。」 「なんだい?」 「確か今日の昼くらいまでテニス部は私に対して良い印象を持ってなかったはずなのに、どうしていきなりそんな馴れ馴れしくなって私はココにいるの?」 ずっと思ってた疑問だ。 私が吹奏楽部の部長と知ってありえないって言ったり、嫌な感じだとか変わり者だとか…たるんどるとか。そんなことを言っていた連中がその数時間後一緒にファミレスに行こうだとか名前で呼び捨てだとか体調を心配したりとか。 変わりすぎる態度に少し追いついていけない。 「あぁ。最初はね、ちょっと冷たい印象もあったしかなり大人びてるし、確かになんていう奴だって思ってたんだけど。が皆まとめてる所とか凄いなって思って興味がわいた。それに今日俺がボール取ってって言ったら仁王の頭にテニスボールぶつけただろ?あれ多分俺らがの気を悪くさせたから、その仕返しにしたのかなって考えたら案外子供じみたところもあるんだって思うと可愛いとこもあるんだって思って。」 「確かに校門でもファミレス行き決定になったとき仁王の頭たたいてたしな。あんなんできんのだけだよ。」 「そうそう、仁王とのやり取りは親子みたいで面白ぇし。無理なお願いとかでも結局は聞いてくれるし優しい奴だなって思ったぜ!」 なんだこのべた褒め。というよりも褒められているのか良くわからない。 「は第一印象よりもいい子なんだよー!吹奏楽部の母親みたいな!ね、幸村君、この機会に吹奏楽部とテニス部仲良くしない?」 「ちょっと、島尾。」 制止の声をかけるが誰も聞いていない。何を勝手なことを言ってくれてるんだ。 「いいね、それ。僕は賛成だよ。」 「まあ…そうね、テニス部と親交を深めれば何かのときに役に立ちそうだしね。」 「え、役に立つって…何するつもりなんすか…。」 「今日みたいにグラウンド譲ってもらったりしやすいでしょ?テニス部って結構権力ありそうだし。でもそんな交友関係なんて個人で決めることで勝手に私たちで決めることじゃないわ。仲良くしたいなら勝手にすれば良いし他の部員を勝手に巻き込むなんて…私がすることじゃないし。」 「それもそうだね、いきなりテニス部と吹奏楽部で親交深めるとかって言っても他の部員が困るか。」 「そういうこと。だからお互い仲が悪いわけじゃないんだし普通に助け合えばいいじゃない。部活なんて関係無しで。」 「じゃあこれからよろしく頼んだよ、。」 「…は?」 「個人で親交を深めるんだろ?だから俺たちも今日から友達だ。お互い部長同士だしきっと話も合うよ。同じクラスだし背の順だって近いし断る理由なんて無いだろ?」 にこりと笑って私を見、他のメンバーもよろしくだとか言ってくるので、助けを求める意味で真田を見たらうなずかれた。友達になろうではないか、とでも言いたいのか。 今日はたまたまこうやって一緒に居るけれど、友達以前にこれ以上深く関わるつもりは無かったのに…まんまとハメられた気分だ。 「ねえ幸村君!あたしも友達?!」と島尾が聞いて幸村がもちろんだと答えると嬉しそうに万歳した。 ていうか友達って友達になろうとか言ってなるものだっけ?まあどうでもいいや。テニス部と親交を深めておけば何かしらと役に立ちそうだ。 ということでこの話はこれで終わり。本当勝手に同じクラスの人、学年の人から友達というものになってしまった。何回も言うけどこういう友達のなり方ってあるだろうか? 夜も9時半をまわってしまったのでお会計を済ませてファミレスの前で解散だ。 「幸村、悪いんだけど島尾のこと送ってあげてくれない?」と言えば島尾がすっごい反応した。 「え!何言ってんの!?そんな幸村君に悪いって!」 お近づきになれるように協力してといったのは島尾、あんたのほうだ。島尾の言葉を右から左へと聞き流して幸村にいうと、快くOKしてくれたので後は自分の力で何とかアドレス聞くなり何なり勝手にしてください。 ただ、恋愛をすると感情移入で音が良くなったりすることがあるけれど逆に恋愛に現を抜かして練習に疎かになった場合コンクール前日であってもレギュラー星組から落とします。 部のルールだけど。 「、俺が送っちゃる。」 「え、仁王は家の方向逆でしょ?あんたも早く帰りなさいよ、朝弱いくせに。」 「お前さんがもし襲われたら部がまとまらんくなるぜよ。」 「大丈夫よ。私のほかに副部長は二人、なんちゃらリーダーって付くまとめ役は何人か用意してるもの。…でもまあお言葉に甘えるとしましょうか。ファミレスでも全然話せなかったしね。」 私がそういい先に歩き出すと、仁王は走って私の右隣まで来てご機嫌に鼻歌を歌いだした。 ファミレスでもっと話したかったようだ。 → \ 立海大付属中学校吹奏楽部事情 / ・主人公の代からの革命なので、同期は少ない26人 ・後輩は63人の合計86人。 ・女63人 男23人 ・3年は(女17人 男9人) ・男子23人中10人はパーカッション ・吹部の3年男子はスパルタ部長が居るために中2病にかかれなかった。 ・そのために精神的大人で女子から意外と人気がある。 ・もともと人数の少ない部活だったので楽器も少なく主人公が97%購入している。 ・1年生増えたらまた買わなければならない。 ・コンクールは50人が上限なのでコンクール1ヶ月前に編成にあうように部内オーディションで1軍星組に選ばれる。 ・オーディションから落ちた花組は高等部と混じって夏の野球大会の応援や、サマーコンサートの練習。 そしてコンクール組のサポートへ回る。 ・1年は1学期中は全部基礎練習と体力づくり。肺活量のため。 ・夏休みにはいって基礎メニューテスト合格後、新入生課題曲を渡され ソレを合格後に野球の応援とサマーコンサートの練習。 (金額はYAMAHA調べ) ピッコロ 4人 ¥ 168,000/ (2年 3人/3年 1人) フルート 5人 ¥ 187,950/ (2年 3人/3年 2人) オーボエ 4人 ¥ 493,500/ (2年 3人/3年 1人) ファゴット 2人 ¥2,205,000/ (2年 2人/3年 0人) クラリネット 13人 ¥ 320,350/ (2年 9人/3年 4人) バスクラリネット 2人 ¥ 693,000/ (2年 1人/3年 1人) ソプラノサックス 2人 ¥ 448,250/ (2年 2人/3年 0人) アルトサックス 5人 ¥ 430,500/ (2年 4人/3年 1人) テナーサックス 3人 ¥ 467,250/ (2年 2人/3年 1人) バリトンサックス 2人 ¥ 519,750/ (2年 1人/3年 1人) トランペット 8人 ¥ 309,750/ (2年 5人/3年 3人) コルネット 随時 ¥ 128,100/ (トランペットパートが随時担当する) トロンボーン 8人 ¥ 273,000/ (2年 5人/3年 3人) バストロンボーン 2人 ¥ 325,500/ (2年 2人/3年 0人) ホルン 4人 ¥ 399,000/ (2年 3人/3年 1人) ユーフォニウム 3人 ¥ 283,500/ (2年 2人/3年 1人) チューバ 4人 ¥1,260,000/ (2年 3人/3年 1人) スーザフォン 随時 ¥ 483,000/ (チューバがマーチング時に使用する) コントラバス 3人 ¥1,555,000 / (2年 3人/3年 0人) 他はパーカッション12人(2年 10人/3年 5人) |