大学を出でて、アメリカの一流企業に無事就職した。 こっちで就職してしまったのなら、もう日本に戻ることができないかもなんて不安に思ってたりもしたのだけれど、まさかの転勤で日本に戻ることになった。ちなみに出世転勤だ。 不安も少しあったが、喜びのほうがはるかに上回る。 10年ぶりの日本だ。羽田空港に着き、日本人の多さに嬉しさを覚える。 この10年の間であたしの環境はかなり変わった。 欠点をとって部室で赤也と一緒に正座させられて真田君に怒られたくらい嫌いな英語はもうペラペラに話せるようになった。 むしろ日本語のほうを忘れかけているくらいだ。片言になってしまってたらどうしよう! 立海にいるときは外国人の友達と言えば、あえてあげるならハーフのジャッカル君だけだったけど、今では日本人よりもアメリカ人や日本国以外での友達のほうが圧倒的に多くなった。 アメリカから日本に来るときは来るときで寂しかったんだけど、皆に会えると思えば希望のほうが大きかった。 10年前はここで皆が見送りに来てくれたが、帰国のことは誰にも話さずにいる。やっぱビックリさせたいし! あたしの記憶の中では皆はまだ中学生の時のまま。 今はさぞかし立派になっているんだろうか? 皆変わったかな?かっこよくなったかな?元気かな?丸井君も赤也も仁王君も落ち着いてるといいな・・・。真田君はもっとふけてたら面白いのに! あたしは丸井君と同じくらいの短さだった髪だって結構伸ばしたし、化粧だってするし、背も伸びたし25歳というもう大人だからやっぱり女らしくなってる・・・と良いなあ。 とにかく精市に会いたいな、結婚前提に付き合うってゆう約束覚えてるかな? 中学3年のときだから、ただのかわいらしい約束というか言葉の重みもない約束のように周りからは見えるかもしれない。 でも、あたしはソレを夢見てきたし、あたしと精市なら子供の時の約束だって叶う気がするんだ! それに、あたしは変わらずに精市のことが好きだもん。 ずっと会っていなのに、不思議と好きという気持ちは増すばかりだった。 会ったら最初にもう一度付き合ってくれますか?って言うつもりで、次こそ絶対離れないんだ。 10年も会えないのはもうこりごり。 あたしのアメリカ行きは、きっとあたしたちに与えた神様の試練で、それを乗り越えたんだからもう大丈夫。 問題はどうやって連絡を取るか、だったが、まあそれは後からでいいやと思いタクシーに乗り込んだ。 next |