中学の3年間、どんな毎日だったかといえばほんの少ししか思い出せないけど、どれも最高の毎日だったように思う。

真っ先に思い出すのはテニス部。
あたしはマネージャーをしていたから、やっぱり一番印象深いのはこれかな。

思い出すと、次々と思い出が溢れてきた。

わかってくれる親友がいて、一緒にがんばった仲間がいて、横には大好きな精市がいた。
全国大会は3年のときは準優勝で、惜しくも狙っていたものには一歩届かなかったけど、不思議と心の中は満たされていたのを覚えている。

皆で高等部行ってまたテニス部入ろうね!って約束して、受験勉強もがんばって。

そんな幸せな毎日をぶち壊すかのように、父親の転勤でアメリカ行きが決まってしまった、あの絶望感は今考えても人生で1番か2番だったかもしれない。

とりあえず皆と離れたくなくって泣いたし、何よりも精市との別れが一番辛かった。

卒業式の日にそのまま出発だったために、色々な哀しみが溢れて泣きまくりで。


「あのさ、精市、あたしと別れて?」
「どうして?」
「いつ戻ってくるかわかんないもん・・・。」
「一つだけいいかな?」
「なあに?」
が日本に戻ってきたら俺と付き合って、次こそ結婚してくれる?」

あの時の精市の微笑みは、まだ鮮明に思い出せる。

「嫌かい?」
驚きで言葉が出ないあたしに精市はそう聞いて、慌てて首を横に振ったっけ。

「ううん!嬉しいよ精市!」
「じゃあ約束だよ。ちゃんと戻ってきてね。」
「わかった、絶対待っててね!」
「約束する、待ってる。好きだよ、


うん!と頷いたあたしの声だって、そのあとの誓いのキスだってしっかり思い出せる。


あれもこれも、もう10年も前のことだったと思う。
それでも想い出は未だ色褪せない、あの頃のまま。



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