「1位は変わらずブイヨサイケデリック、か…。だが2位は変わらずお前だ、夏依。」
「ありがとう、リボーン。あたし絶対勝って見せるね。」
「頑張れよ、夏依!」
「あんな奴に負けんじゃねぇぞ。」

「夏依ちゃん、がんばってね・・・!」

フゥ太に改めてランキング星と交信してもらいランキングを出してもらうと、ずっと前にした時と変わらず強い女マフィアランキングでの源内夏依は2位であることにそこに居た皆が安心した。





Mi chiamo arma.






それよりも数時間前、世界一とも言われる圧倒的強さを誇る集団、暗黒殺人部隊・ブイヨは日本入りをはたし、ヴァリアーの居る屋敷に到着しと合流した。


そしてフゥ太のランキング星との交信が始まったと同時刻。
「わあ、またフゥ太の交信が始まったよ!」

リンピドが耳を澄ましたらしく、奴等の情報が入ってきた。
ランキングの内容は強い女マフィアランキングということから今日付の源内夏依のマフィアランキングが気になるんだろう。

「何回やっても一緒なのにね。」
あたしがコーヒーを飲みながらそういうとリンピドの横に居た同じブイヨの仲間・ジャッロは「沢田達も一緒に居るじゃん!邪魔しちゃおっと!」と言ってなんか絶対地球外的な言葉を発しだし、急に体が・・・というかこの部屋のものが全部浮き出した。
何をしているのかわからなくて顔をしかめ、彼女のよくわからない行動が終わるのを待った。


「よっし、これでおっけー。」
「あんた今何したの?」
浮遊感がなくなり、一気に下に落ちた。どうやら何かが終わったらしい。

「ランキング星とからの情報受信を邪魔してみたんだよ、いっつもやってることじゃん!」
「…ちょっと詳しく聞かせてよ。」

そんなん聞くの初めてなんだけど、といえばあっさりと答えてくれた。

「あいつらにそうやすやすとランキングを渡すのって嫌じゃん?だからランキング星から受信した内容をあたしが弄ってんの。向こうにあるランキング偽物だよー!」

馬鹿だよねー!何の疑いもなく信じて!あひゃひゃ!と笑い出した。
そう簡単にこちらのランキング順位がばれるのはいやだったらしい。
ずっと前に源内が言ってた1位ブイヨサイケデリックで2位が源内だったあのランキングさえも偽物だという。
本当のランキングを聞き出してみれば、1位があたしな事は変わりないが、2位も3位も4位も全部ブイヨの仲間らしい。
源内自体はもうちょい下の25位当たりだってさ。なるほど、通りで2位の割には弱っちいと思った。
ちなみに今回のランキングでは1位ブイヨサイケデリック、2位源内夏依、そしてという名前を一応10位くらいに入れておいたらしい。

「あんたすごいね、そんなことまでできるんだ!」
「そりゃ、ブイヨだもの!他のマフィアは気づいてないけどね、あたしがランキング出せるって。」

ブイヨって本当なんでもありだねーと言えばだって「ブイヨだもん」と聞きなれたようなフレーズが聞こえてきて笑ってしまった。




「じゃあ行って来るよ、皆。」
部屋に居たあたし以外のブイヨ12人全員にそういって部屋を出た。
さすがにリング戦見にこられてもややこしくなると思うしね。





◇◇◇


あたしたちが並盛に着くと、向こうは既に準備万端といった感じで揃っていた。沢田も修行は完璧なのかそこに居る。

体調は微妙、だけど問題なし。

「夏依、気をつけろよ。あいつはつよいぞ。」
ディーノが源内にそういうのが聞こえてあたしはディーノを睨むとディーノもあたしを警戒するかのように見た。前まであんなに仲良しだったディーノもここ数日で完全に溝ができた。


ディーノからめをそらしてフィールドを見ると、体育館くらいの大きさの真っ黒なドーム。

「これが今回のフィールド?」
「はい、そうです。」

あたしの呟きが聞こえたのかチェルベッロが説明し始める。

「宇宙のリングの使命は敵対するものに混沌を招き塵と化す、解明不可能な謎多き無限空間ということですのでこの中は光一つない闇の空間となっています。そして中の自動攻撃装置が四方八方に500個あり、全てが守護者の急所を狙うような設定してあります。」

「何だそれ!」と沢田が声を上げた。
向こう側の人間は皆少なからず動揺している。
まあね、そりゃ真っ暗闇で狙われたら普通なら怖いモンねー。

「なーんだ、つまんないのー。」
ため息をついた。

「つ、つまんないだと?!」と笹川了平の声が聞こえたが無視して先にフィールドに入った。

音は聞こえるみたいで、外から円陣の声が聞こえてきた。
モニターでどっかから見てるのか、そこでの声も聞こえてくる。


わあ、普通の人から見た本当に何も見えないくらいの闇。

あたしの前でこの闇は無意味。
ブイヨというのは闇というだけあって…闇はあたしのホームグラウンド。
さらに言えば目が特殊なので闇であろうが日の下だろうがどっちでも同じように見える。


「宇宙のリング  VS 源内夏依 勝負開始!!」

チェルベッロの声が聞こえたと同時に、500ある自動攻撃装置が稼動してあたしや源内に向かってナイフが飛んできたり、雷落ちてきたり…なんだかこの世の攻撃手段すべて詰め込みましたみたいな…。

いや、この世のというよりも守護者の、といったほうが正しいのかもしれない。
宇宙は大空さえも支配するものだからね、晴雷嵐雨霧雲、そして大空。すべてを支配しないといけない。だからその7つに関係するような攻撃装置があらゆるところにあるというわけか。

源内はそれを避けるので必死みたいであたしをかまってくれそうもない。

「あの攻撃装置、邪魔だよねー。」

ということで攻撃装置が埋め込まれてある地面とドームの壁360度を手でかざすと、かざした後にあたしにしか見えない黒い膜が見え、もう一度黒い膜を消すようにかざすと一瞬で自動攻撃装置500個が消えた。

「装置が…消、えた…?」
「やるじゃんー!想像以上!」

驚きの声などが聞こえてきた。こんなの朝飯前というか何もしてない気がする。
あたしの能力はこんなもんじゃない。


「機械ばっか相手すんのやめてくんない?こっちつまらないんだけど。」
「うっさいわね!」

挑発すると源内はあたしにむかって走り出した。
モニターを見てる外野から聞こえてきた「速いっ!」という声に笑いそうになる。
これが?速い?あたしには普通にしか見えないのだけど。

まあいいや、少しだけ遊ぼうと思って、わざと源内の動きに驚いた顔をして、あたかも避けるので精一杯という感じでギリギリで避けたりしてみた。

「おい、夏依が圧倒してるぜ!」
「さすが2位なだけあるぜ…あのでさえも手がでねぇ。」

なんて向こう側の喜びの声も聞こえてくる。そのランキングを信じた時点でもう終わり。

「逃げてんじゃないわよ!」

どんどんあたしを追い詰めてきてあたしに何かを投げ、それはあたしの右腕に刺さった。それは千種のヨーヨーの針のような感じ。


ざまーみろというように笑われた。すぐさま顔に苦痛の表情を浮かべる。
きっと毒か何か塗ってるのだろう、普通の針だとただの針治療だもの。刺されたところがジンジンする。

「あんたなんか短期決戦でじゅーぶん!5分もいらない!それに塗った毒は普段なら5倍に薄めて使ってじりじり死んでもらうのだけど・・・特別に原液を使っておいたのよ!もうアナタは動けない、あたしに殺されるまでよ…!」

そういってあたし向かって走ってきて動けないあたしを蹴ったり殴ったり踏まれたりされてるけど全く痛みを感じない。
ぐっと胸倉をつかまれ首が絞まり、源内はナイフを取り出しあたしの首に当てた。
「さっきまでの威勢はどうしたの?弱すぎておもしろくないわね、でももういいのよ?」
そういってナイフを振りかざしあたしに止めを刺そうとした、が。

「ねーえ、いつになったら相手してくれるの?」
「え…?」

源内の後から声をかけたらこちらに振り向き、傷一つないあたしを見て驚いた顔をしていた。
そりゃそうだわ、源内が胸倉を掴んでるのもあたし、後ろから声をかけたのもあたし。
外野たちからも驚きの声が聞こえる。

「そんな怖い顔をしないでよ。ショックじゃない。」

あたしが指をぱちんと鳴らすと源内が胸倉を掴んでいたほうのあたしが、サラサラ――と砂のように消えていった。

「あんたが遊んでたのはね、あたしじゃなくてあたしの分身。幻覚じゃないよ、分身。」
にっこり笑ってやると信じられないという顔をした。

「あ、あいつも幻覚使い?!」
「ディーノさん!あいつ一体何者なんですか!」
「…わかんねぇ、ヴァリアーだということは知ってるけどあいつの戦い方を見た奴は誰一人いねぇんだ。ザンザスでさえもな。」

「ヴァリアーの、か。」
「シャマルも知ってるのか?」
「ああ、ヴァリアーのといえばマフィア界ではしらねぇやツが居ないくらいの有名人だ。マフィア界で最も非道なマフィアといわれ、暇つぶしにマフィアを潰しに行くようなやつだ…。ほら、昔並盛で同時刻に二つのやくざが大量に変死してただろう。
俺はの仕業だと思っている。いや、むしろ一瞬であんなことができるのは、しかしらねぇ。」


あたしってマフィア界で有名なんだ、初めて知った。


「外野いちいちうっさいね、まあいいや。反応があるほうが面白いし。で、源内夏依。あたしの情報集めてた割には調べ切れてないみたいね。」
挑発すればすぐに「あんたなんてぶっ殺してやる!」とあたしに向かって走り出した。
さっきよりもスピード自体は上がっているけど全然余裕。

間合いを取って源内に金縛りをかけた。

「動かない!何したのよ!」
「何って…動かなくしたの、あなたの体。」

そして近付いて1mくらいまで近付いてこぶしを突き出した。

「ねえ、源内。これ見覚えあるかな?」
握りこぶしをもう片方の手でかざし、そしてゆっくりと下にかざしていく。
するとただの握りこぶしではなく何か掴んでいるように今までなかった何かが、かざしていったところから段々現れ始めた。

「い、いやあああぁっ!」
源内の顔が思い切り引きつり、目は見開き、震えだした。
「どうした夏依!」
「ひっ!あれ、生首…?!」
「あれは…日本支部の、源内有男…か?」

外野から、というかディーノの声が聞こえ
「正解、ということでこれあんたにあげるねー。」

そういって先日源内有男を殺した時に残した生首を出現させ、娘である源内夏依に投げ渡した。
源内は錯乱しているのか生首だということもよくわからないのか受け取っって、「おとう、さま?」と呟いた。

「そ、あなたの父親。7日前に殺しちゃった!」
信じられない、という顔であたしと有男の生首とを交互に見つめた。
「夏依、しっかりするんだ!あれも幻覚かもしれない!」
ディーノがそう叫んだ。

ディーノはもう、あたしの敵。
笑いあった日々ももう、過去の話しだ。どっちが勝とうと戻ることはもうないのだろうか。
スクアーロもディーノもあたしから消えたのか。

ディーノの言葉で源内は、放心状態から戻ってきた。
「そ、そうよ!幻覚よ。もうあたしはあなたにはだまされない!あたしさっきまでお父様とやり取りしていたんだもの!」
「やりとりしてたって…これで?」

ポケットから源内有男の血まみれの携帯を取り出した。
「これでね、あんたとメールしてたのあたしだよー。どこからって?の情報を集めるためにイタリアへ行く!って言うメールから、全部。」
源内の顔が引きつり、さらに沢田の震えた声が聞こえてくる。

「あれは…幻覚じゃない!」
沢田の超直感というやつか、信憑性は高いのか周りは息を呑む。
目の前の源内からは悲鳴がもう一度聞こえ、うるさくて耳を塞ぐ

「源内有男の次は、もうわかってるよね?源内夏依、地獄であなたの大好きな父親と再会させてあげる。あたしって優しいからね。」





宇宙小戦争



本当に一瞬だった。「夏依ちゃあああん!」など彼女を呼ぶ声は全て無視で、あたしは、


彼女の喉に。