骸たちと別れて一ヶ月がたった。

学校に行ってもつまらないいじめばっかり!
ふと鳴った携帯を見ると新着メールが一件、電話をかけて、とだけはいっており自然とため息が出る。
次は何に巻き込まれるんだろう。

なんとなく一度イタリアに行かなければならないような、そんな感じがする。
まあいいんだけど。

だって沢田ファミリーは前の骸との戦いで大幅に成長した。
戦闘力、殺意向上ともに100、とまでは行かないけどまあ別にもうあたしの役目は十分終えたと思う。
その報告に9代目の元に行こうと思っていた矢先のことだったから。



電話を入れようとすると、後方から山本に広辞苑を投げられたところを難なく受け取り投げ返すと、それは投げた本人の顔すれすれを通り越して壁に練りこんだ。
唖然とするクソがきどもを放置して教室を去った。
悔しそうな顔をする笹川と源内がおもしろい!


向かうのは応接室の恭弥のところへ。

いつもどおりノックをせずに部屋に入ると彼は決まってムッとする。
部屋には入らず扉のところから一言要件だけ告げる。
「明日からちょっとイタリア行ってくる。」
「え、ちょっと、何なの?」

よりムッとした彼にあたしも不機嫌になる。
「知らないわよ、あたしだって。でもいかないといけないみたい。」

じゃあ!とだけ言い、まだ何か言いたそうな恭弥の顔を見なかったことにして応接室のドアを閉めた。


気分転換に家まで歩きながらメールを送ってきた張本人に電話。
trrrrr


「もしもし?」
「あ、もしもしじゃないーい!」
じゃなーいじゃないって。ルッスーリアから連絡って珍しいね、どうしたの?」
「あのね、ボスが帰って来いだって!」
「は?ザンザスが?」
「そうよ!だから早く帰ってらっしゃい!」

ザンザスがあたしを呼び出すなんて珍しいなあ。ちょっと気になるけどルッスーリアはたいしていつもと変わらないし大丈夫だろう。

「うん。ちょうど本部行こうと思ってたからちょうど良かった。」
「あら、そうなの?」
「用事あってさ。ザンザスのとこにはすぐにいけないけど用事終わったら極力早く行くつもり。」
「わかったわ!楽しみに待ってる!」
「じゃあまた。」

そういって電話を切り、向かったのは日本支部。
もちろん変装して行った。だって日本支部が大嫌いなんだもの。
奴らはヴァリアーのを見るのが初めてなのか、うわさを聞いてなのか少しおびえていたが、気にせずに日本行きの飛行機をすぐに用意させた。








Mi chiamo arma.



>


久しぶりのイタリアは気持ちがいい!
故郷はやっぱりおちつくなあ!とおもいつつ早速ボンゴレ本部に行くことにした



何回見ても本部は大きい.
迷ったことはないが、中は迷路のようで普通なら何十回来てやっと覚えれるくらいだろうか。
定期的にボスの部屋が変わるので簡単に9代目のもとへ1時間以内にたどり着ける人なんて
ザンザス、ブイヨ、9代目の側近、そして9代目の守護者だけだとおもう.


ボンゴレの敷地内に入り、9代目の顔を思い浮べて軽く跳び、着地すると思ったとおり9代目の部屋の前だった。


ノックをしてです、と一言言うと、中から返事がしたので入った。

横には家光がたまたま控えておりあたしと目を合わすなりピストルを構えた。
嫌いな沢田の父親。みてるだけでうざい。

門外顧問は日本支部源内親子とはまた違う理由でヴァリアーを嫌っている。
ゆりかご事件があったおかげでいつ何をするかわからない。実力があるからこそ危ない存在。

奴らの頭のなかはあたしの所属はヴァリアーなためにあたしへの警戒は解かない。
・・・でもピストルなんか向けても無意味なのに
彼はそれを知らない以前にブイヨの実態を知らない。

「やめなさい、家光」
「お久しぶりです、9代目。」
あたしを睨むように見る家光がしぶしぶピストルを下ろすのを視界の隅で見たあと、家光なんか居ないという風に視界にもいれず、先程の行為も何もなかったように話した。
久しぶりに見る9代目はやっぱり優しい目だ.


早速報告書を取出し渡す。
「沢田綱吉及びそのファミリーは戦闘能力、殺意向上目標値に大方達したよ。
あとはあたしが居なくてもアルコバレーノが居れば日常生活で
勝手に目標値以上になると。
だからあたし任務を終わるけど
ただ一つどうしても9代目の任務でこなせないのがあるの。」


9代目の代わりに家光が何?と答えるが、9代目はあたしをじっと見たまま何も
言おうとしないので答える。


「いや、沢田のファミリーには入れないかな。」

何だと?と、また家光が答える。

「だってちょー弱いしガキだもん。楽しくない。」


自分の子供をバカにされたからか任務を放棄したからか家光は怒りを顕にした。
さっきから思ってたけどなんで家光ばっか喋ってるの?
あたしはあんたじゃなくて9代目に話し掛けてんだってば。


「そんなに嫌か?」
家光を話せなくしてやろうかと思った矢先、ようやく9代目が口を開いた。

迷わずあたしは頷く。

「確かにあたしはずば抜けた力を持ってるし実戦もしてきたから名前もかなり通ってる。
あたしがファミリーに入れば敵なんて怖いもんなしだけどあたしの力をあいつらの下で使うつもりはないし、半年あいつらを見てきたけどあいつらのファミリーになる価値が見いだせない。
中学生のマフィアごっこなんてやってらんない。あたしは一流のマフィアだもの」


9代目は目を伏せて、そうか…とつぶやき「わかった、の好きにすると良い」と言う。
ホッとしたが、9代目はあたしじゃないとわからないくらいに落胆しているのは見ないふりした。

だが、「それじゃ。」といいドアを開け出ていこうとした時に聞こえてしまった。
きっとあたし聞こえないように言ったつもりなんだろうけどあたしの耳は獣並みに聞こえることを忘れてないだろうか。

に頼んだのが間違いだったか。」


その言葉に足を止めることなくほんの少しチラっと9代目を見たが、目は合わなかった。
あたしもあたしでその言葉で一気に9代目に突き放された気がして、彼を慕う心が消えてしまった。




廊下で軽く飛ぶと次はブイヨのボスの部屋の前。
ボスでり仲間である、ロッソことヴェリエにボンゴレ本部に着くちょっと前に、イタリアに戻ることを告げたらすぐに来いといわれヴァリアーの屋敷に行く前に寄ることにした。

ヴィエリはあたしが来たことはノックも何もしなくても気付いたらしく「か、入れ」と言い、遠慮なく入った。

入ると、ヴィエリだけじゃなくブイヨが全員集合していた。
というのもこれはいつもの光景だけどね。
「久しぶり!」「久しぶりだな。元気にしてたか」等の挨拶をかわし、しばらく日本での生活や任務が終わった事を話した。


「そういえば骸に会ったんだって?」


ブイヨの一人にそう聞かれ自然と暗い顔になってしまった。

「なんか…あったのか」

ボスに言われて重い口を開く

「実は、ボンゴレのっとろうとしててさ。止めることしなかったけどあたしがボ
ンゴレだと話すと今まで見たことないような目で裏切り者って言われちゃった」
苦笑しながら言うとみんなも沈黙した。

「でも、やり方は違えど骸もあたしたちも野望は一緒だからまあそのうち和解できると思う。」

「あぁそうだな。そうだ、呼び出したのはこんな話をするめじゃないんだ。」

「なに?」

「任務だ。」
さきほどの和やかな雰囲気からがらりとかわり重くなった。

ブイヨのとしての任務は久しぶりだ。

ブイヨにくる任務は一旦ヴァリアーに話が行くが、ヴァリアーですら成功率1%程度のお手あげ状態のもの。
それをブイヨは100%遂行する。


が、ヴァリアー自体が成功率高いのでほとんど回ってこない。

ヴァリアーのに来る任務よりブイヨのに来る任務のほうが当たり前
にレベルは高くスリル満点でテンションがあがる。

その任務が久しぶりにあたしに来たから、すごくワクワクする。


溜まったストレスを一気に解消できるようなマ1日でマフィア4つぶん全壊できるようなそんな任務がこのましい。


「源内夏衣を殺せ」

「は?」

「は?じゃなくて…」

ボスは呆れたようにため息をついたが、聞き慣れたその名前に反応してしまった。

「源内夏衣って日本支部の?」

「それ以外に誰がいる?
源内なんて苗字も夏衣ってゆう名前もそうは二人居ないぞ」

「だよね〜。なんでまた源内?しかもあたしなの?
ブイヨってゆうかヴァリアーでなくてもこなせるへぼ任務じゃん!」


スリルどころか暇もつぶせない。
でも世界で2番目に強い女マフィアなら手ごたえはあるかもしれない。
そこで、リンピドことアウディが口を開く。

「源内との会話聞いたんだけど、超うざいの!だから殺したくなってさー!
だからなんやかんや理由つけて9代目にOKもらっちゃったの!
でも9代目にもあたし愛想尽きちゃった!」

リンピドは意識をすれば世界中の特定した人物の会話が聞こえる。
さっきのあたしと家光と9代目の会話も聞いていたらしく、あたしと同じように慕う心が消えたらしい。
結局あたしたちは捨て駒だったのかもしれない。
任務を性格にこなす使える駒。


それはそうと、ウザいから殺す。おもしろい、あたしたちには殺す理由はそれで十分。
…にしても軽く言う割には内容が凄いな。


「それにが源内に関わってるから一番殺したいって思うのはかなあって。」
「そうだな。沢田ファミリーに源内が入った今、源内を殺したいのはお前だろう。
【ヴァリアーの】が日本支部の幹部の源内を殺してみろ。ボンゴレ内で喜劇だ。
それが世界中のマフィア界に知れ渡り、よりいっそう喜劇は大喜劇。おもしろくなるぞ。」

性質の悪い笑顔を浮かべるヴィエリにあたしも同質の笑みを浮かべる。




「その任務、乗った。」

(どうやって殺してあげようか)