逃げてからはいつも4人で一緒で行動していた。 マフィアを全滅させ、この世を血の海にする。 これがあたしたちの最終目標。 マフィアを潰せば潰すほど生き残りがあたしたちを追ってくる。 それを殺せば同盟ファミリーが黙っちゃ居ない。 いくら最強な能力を持つ4人だからって子供は子供。 あたしだって、まだ使いこなせてないこの能力。 半年が過ぎたころ。 自分の未熟さを知った。 自分のファミリーをひとつ、他のファミリーを5つ潰したあたしたちのことは、ほかのファミリー間でも有名になっていたらしい。 エストラーネオの生き残りや、他のマフィアに追われ 大変で大変でもうこれ以上は…というときだった。 「もうこれ以上4人で行動するのは難しそうですね。」 追っ手から逃げ、街の路地裏で身を潜めていた時 怪我をした右腕を押さえながら苦しそうに骸はそういった。 「骸さん…」 犬が少しくらい表情をした。 それがどういう意味なのか、犬や千種には解っているのだろう。 もちろん、あたしだって、 「僕たちが4人で行動できるのもココまでかもしれませんね」 あたしは骸を見つめた。 彼の言いたいことがわかってしまいそうで、当たってしまいそうで 解りたくなくて当たってほしくなくて。 あたしは絶対に骸たちのそばを離れない。 そう口にするつもりが、大人たちの 「いたぞ!こっちだ!」という大声でできなかった。 「見つかった!逃げよう!」 あたしは横にいた千種と犬の腕をつかみ立ち上がり 逃げの体勢に入ったのだけど骸はあたしを突き飛ばした。 「え…?」 「、ここは僕たちが囮になります。その間に逃げてください。」 そういって骸はあたしに背を向けた。 「いやだ!あたしも連れて行ってよ!」 すぐさま立ち上がって骸にしがみついたけど、彼はその手を優しく振り払った。 犬と千種を見るが、二人とも伏せ目がちだ。 きっと連れて行ってはくれない。 「やだ、むくろ、ちくさ、けん!」 ここで別れたら、もう二度と会えない気がするから、だから! だからあたしも連れて行って! 「だめです。は良い人に拾ってもらって、幸せになってください。」 「そうらびょん、俺たちは大丈夫らから。」 「…また会えるから、」 3人の笑顔は本当優しくて、哀しくって、みつめたまま動けなくなった。 すぐに遠くなっていった3人の背中を涙を流して見つめるしかできなかった。 大人たちが骸たちを追っていく。 周りの喧騒も消えてしまい一人ぼっちになってしまい余計に涙が出る。 骸と出会った頃の夏の暑さはとっくに消え、息をするたびに空気が白く染まっていた。 それからまた夏の暑い頃にあたしは9代目に拾われたのだ。 9代目がマフィアと知ったのは付いていって人柄に何か運命を感じた後。 殺してやるなんて微塵にも感じなかった。 ここまでがあたしと骸たちの小さい頃の記憶。 Mi chiamo arma. 一通り思い出を思い出したところで、皆が居るであろう部屋へ向かった。 沢田と骸の戦っている気配が胸を痛める。 骸に絞められた首を、無意識に触った。 中に入るとそこはすでに決着がついたのか、沈静化していた。 割れた地面の真ん中で気を失った骸と、骸に這い寄る犬と千種。 「むくろ!」 あたしは居ても立っても居られなくなり彼に駆け寄った。 「え!?和田!?」 いきなりの登場にびっくりしたのか沢田たちはあたしの苗字を呼んだ。 そんなことどうだっていい。 骸の元へ行き、彼の横に行きしゃがみ、頬をたたいて名前を呼ぶ。 「むくろ!むくろ!返事してよ!」 もちろん彼は死んでいない。 でもココでもう一度名前を呼んでほしい。 さっきのような冷たい目ではなく、昔のような温かい目で。 離れたところで沢田の 「えーー!骸と和田って知り合いなのー!?」 なんて声が聞こえるが、本当無視だ。 知り合いなんてモンじゃない。もっともっと深いところ。 君にはきっとわからない。 いっそのことボンゴレの裏切り者でも何でも良い。あたしは彼らが大事なのだから。 ふと後ろから両腕をつかまれた。 「けん、ちくさ。」 それは紛れもなくぼろぼろの犬と千種で。怪我のせいか辛そうにあたしを見つめた。 彼らが何かといおうとした瞬間に骸、犬、千種の首に鎖がつながった首輪がはめられ思わず目を見開く。 その鎖の元をたどると、何度か見たことの後不気味な3人。 その姿はなんかいみても気持ち悪い。 「復讐者…」 にらみつけるあたし、苦しそうに顔をゆがめる犬と千種。 引っ張られると同時に、あたしをつかんでいた二人の手が離れ、もう一度つなごうと 二人があたしに伸ばした腕にあたしが二人に伸ばした腕は あと1mmのところで掴みきれなかった。 復讐者はあたしに目をあわすことなく骸たちを連れて行ってしまった。 助けることならできたはずなのに、あの時と同じように動けなくって見ているだけだった。 さいあくだ、あたしは。 また、ここでお別れになっちゃうんだね。 あの日のように。 哀しみを隠すように目を伏せた。 「おい、六道骸と何の関係だ。」 アルコバレーノが、あたしに問うた。後ろの沢田綱吉も不安そうに見ている。 「和田…もしかしてグルなの?!許さない…」 おっとここにきて沢田の一気に殺意が向上。 「どんな関係でもあんたたちに関係ないでしょ。」 そういい立ち上がった。 アルコバレーノがあたしに銃を向けたが、すぐさまボンゴレの医療班がやってきた。 きっと医療班はあたしを見つけるとあたしを優先的に構おうとする。 沢田たちにはまだあたしがボンゴレだとバレたくはないため、だれにも気づかれないように姿を消した。 (そしてまたあえますように) |