イタリア午前2時・某所 「スクアーロ」 「なんだあ?」 「伝言あるんだけどー」 「あ゙ぁ゙!?誰からだぁ?」 「ししっ!まぁ落ち着けって!0時までに電話しねぇと殺すってさ!」 「はぁ?!そんなんいう奴しかいねぇじゃねぇかぁ!げっ!着信5件・・・ゔお゙ぉぃ!!なんで早く教えねえ!しかも2時間も過ぎてるじゃねぇかあ!」 「だってそっちの方がおもしろそーじゃん」 「ゔお゙ぉぃ!!」 「うっせぇ」 Mi chiamo arma. 日本時間・午前6時、つまりイタリア時間・午後10時、一人の男にあたしは連絡をとろうと思ったけれど、奴は電話に出なかった。この前、向こう時間3時に電話したのはなんとなくかわいそうな気がしたのを学習したので早めに電話をかけたのに出ない!こんな時間に寝てるはずもないし、と思ったのだけど「あぁ、任務か」とすぐに理由がわかった気がする。ニッティーノファミリーというやたら女好きな気持ち悪いボスが率いるファミリーをつぶすらしく、仕方ないと思いベルに伝言を伝えよう。 とりあえず、イタリアの夜中0時までに電話を返さないと明日の命は保証しない!と。なぜなら向こうの0時はこっちで言う朝の8時。8時半学校が始まってしまうので厄介なのだ。 だけど約束の時間をまわり1時間が過ぎても奴からの電話はなかった!!これからイタリアに戻って奴の髪を切り落とそうか、それとも色をレインボーに染め上げてやろうか、それとも・・・ってまぁいいや。そこまで大事な用じゃないし。あえていうなら、ただのパシリ。 trrrr!! 時間は8時を軽く回って午前10時。約束から2時間過ぎた頃。ちょうど授業中で暇していた頃に電話だ。実を言えば着メロなんてあたしにしか聞こえない超音波のようなもの。おかげで回りの誰も気づいていない。 「せんせーしんどいので屋上行って来ます。」 勝手に教室を出ようとした。なんとなく教室中が冷たくなったみたい。このまえの内藤ロンシャン事件でみせた不可解な行動、屋上での出来事。それからあたしの存在は余計に嫌われてるらしい。 当たり前に続くプリント配るの席飛ばしに消しゴムが投げられたり机の中の異物混入。ダメージ?そんなのない。消すもん。 「!待ちなさい!」と叫ぶ先生を無視して携帯だけ握って出て行った。 教室を出て曲がり角を曲がってすぐ、ボンゴレ三人組が現れた。そういえば今日も3人は朝から居なかった。まぁ無視してそのまま行こう。おちょくることはいつだってできるし。早く奴に電話をかけなおさないと。 だけど。 「おい」 ただ廊下で横を通り過ぎただけなのに3人の中の銀髪の彼にガシっと腕をつかまれた。不愉快、それ以外の感情はあたしにはなくすぐに振り切った。 「何?」 あたしをものすごい顔で睨んでる彼に対して鼻で笑ってみた。言いたいことは解る。「てめえ、昨日のあのわけわかんねぇ分析はなんだよ。」やっぱそれ?あたしの分析わけ解らないって?そのまんまいっただけじゃない!失礼極まりない! 「調べてみれば?きいてみなよ沢田。頬に怪我をした君のペットにね。」 あたしがそういった瞬間、沢田の顔がピクッと動いた気がした。ペット、つまりリボーンのことをちゃんと連想してくれたみたい。ただ、あの赤ん坊はこいつ等にあたしのことを口走れない。なぜなら、そういう催眠術だからだ。あたしのことを言おうと思ったあかつきには、全身に強力な電流が流れ込む。それも5秒浴びたら意識不明になるくらいの。 「てめぇ何者だ!」 忠犬がほえた。こいつは本当に短気!!「だから調べてみなってば!!じゃ、あたしは用事あるから。」 敵意の無い微笑みを軽く見せ手を振って、3人の横を通り過ぎて屋上へ向かった。 屋上にあがり、入り口の上のところに上り座って折電した。やっとこれで伝言ができる、とか、久しぶりに仲いい奴の声が聞けると思うと安心してきた。 「ゔお゙ぉぃ!!」 「ゔお゙ぉぃ!!じゃないわよ馬鹿鮫」 「ば!ばか・・!」 「っていうか約束の時間どれだけ過ぎてると思ってんの?」 「仕方ねえだろ!今ベルに聞いたところだぁ!」 「へぇ〜ベルのせいにするんだ!」 「ゔお゙ぉぃ・・・!!」 「ま、いいや!で、罰としてちょっと頼みたいんだけど。」 「なんだあ?(罰って・・・。)」 「あのさ、あたしんとこ屋敷に部隊専属パティシエにいるじゃん?」 「ブイヨ専属って言うか専属じゃねぇかあ?」 「は?何か言った?」 「いいや(怖ぇ!)で、それがどうしたあ?」 「パティシエの特製のチョコレートケーキ作ってきてもらって即刻もってきてね」 「はあ!?」 「うん、さっきザンザスにきいたけど今からニッティーノファミリー抹殺の任務あるんだっけ?そんなんどうせ一瞬でしょ!じゃあさ、ザンザスに言っておくからそれ終わったあとのあんた任務追加!それはあたしにケーキ持ってくることね〜!あ!ニッティーノの抹殺5分で終わらせなさいよ!移動時間含めてね!じゃ!」 ゔお゙ぉぃ!と怒鳴る奴をさえぎって電話を切った。やっぱ、スクアーロをからかってみるのは楽しい!それにしても、久しぶりにあたしの大好きなケーキを食べれるとなるとまだちょっと先だけどテンションが上がるなあ! 少し機嫌が良くなったので教室に戻ることにした。あ、1時間目おわっちゃった! □□□ 教室に入った瞬間、あたしの机が倒されていた。しかも気持ちいくらいどうしたのかボッコボコになってきっともう使い物にならないだろう。 一応中に入ってる新品の教科書は散らばりなぜかカバンの中まで散らばっていた。カバンの中には大事な書類が入れてあった。厳重な鍵の付いたケースに入れてあるからまだ良いものの、こいつ等は人のプライバシーってものを知らないの? ため息を吐いたあと自分の机から視線をはずし目の前に何気に立ちふさがる男達と目を合わせた。 「わりぃな!野球の試合近くてさ、バット振る力鍛えようと思ってスウィングの練習してたらお前の机あんなんなってた!」 普通の女子に見せるような笑顔であたしに言い、周りの人間も笑いながらこっちを見る。彼、山本武は獄寺と沢田が待つ自分の席に戻っていった。 そうかそうか、そういうことか。なんだか楽しいなあ。 あたしはとりあえず自分の席に行ってカバンの中身を集めた。あ、思ったよりもそんなに量が少なかったためにすぐに拾いカバンの中に戻した。 問題は机だ。皆が見てるし消すこともできない。 もう心の中ではどうするか決まっている。 あたしが立ち尽くして居るように見えるのか周りが軽く笑い出す。本当に相当めでたい奴らだ。 あたしは山本の机の上に足を置いた。もしかしたらピストルが見えるかもしれないがソレはそのときでまぁいいや。 「ちょっと!山本君の机から足どけなさいよ!」 ファンクラブ?の女が悲鳴をあげる。 「・・・なにすんだ、」 ボンゴレ組3人ともあたしを思い切り睨みながらそういう。 上から見下すように鼻で笑ってやると、眉間のしわが深くなる。 「そう、あたしの机を野球の練習に使ってくれたの?それで少しでも強くなってくれたんなら光栄だけどね。」 じゃあ、あたしも。 そう呟いて机にのせてた足を机の下に入れて軽く蹴り上げ、いい高さまで来たところで軽く回し蹴りをした。 山本の机はものすごい速さで教科書を散らかしながら教室の後ろの壁にぶつかり真っ二つにわれた。 「とある格闘技の試合が近いからさ、練習に使わせてもらうよ。うん、これなら優勝できるかな?」 あーあ、せっかくテンション上がってたのに気分最悪。もう帰ってしまおう。 山本武にじゃあね、といやみったらしくいい背を向けた瞬間、後ろから何かが振り下ろされそうだったので振り向いてソレ・・・多分山本のバットを右手で受け止めようとした、が、思い出してしまった。 “バットが剣に代わるんだって?” 自分で言ったのを脳で思い出したけど体はすでに反応してしまい、思い切り振り下ろされた剣を素手でつかんでしまった。 右手のひらから鋭い痛みを感じ、不覚にも少し顔を引きつらせたがすぐに表情を消した。 流れてくる血に周りの女子生徒は顔を引きつらせたけどあたしはマフィアだ。もっとグロテスクを知っている。あーあ、もっと人がいなかったらちゃんと体が特殊な分無傷だったのに一般人がいるせいで普通からあまりかけ離れてはいけない。おかげでやってしまった。 自分の血を見るのなんて、何年ぶりだろう? あたしがベルだったら狂い始めてそう。 「なに?次は実は剣道の大会も近いって?器用なことやるんだねー」 ふっ、と笑って教室を出た。やっぱりあたしは1日ちゃんと学校には居れないらしい。 カバンを持って校舎を出る。今日は屋上に行って一瞬で帰宅、なんてことはしない。並盛の地図を頭に入れるために歩くことにした。 取引できそうな場所、遊べそうな場所、馬鹿が来そうな場所、近隣の市町など。とにかく暇つぶしにできそうな場所を方端から覚えていく。 つもりだったのに、歩いてる途中で黒い集団発見。 久しぶりに見るこの集団たちにいろんな意味でため息を吐く。一瞬で誰のボディガードかがわかったのだ。 あたしがその集団に近づくと、一番手前に居た体格のいい奴に止められる。あー、こいつ見たことない。 「ちょっとまちな、ここは沢田家の者しか通れねぇぜ」 「そう。あたしに命令するって言うのね。ボスよびなよ。それか古い奴。」 相手は え? としかめっ面をした。この騒ぎを不思議に思ったのか他の黒い奴等もこっちに集まってきた。中にはあたしを知ってる人も居てその人に限ってはあたしを見て驚いていた。 「おい、何の騒ぎだよ」 ここの騒ぎを察知してか、聞き覚えのある声がちょうど前の家の二階の窓から降って来た。なんだか久しぶりに聞くこの声。 ・・・にしても、誰の家よ、ここ。 あたしがその声のほうを見上げて「やっほー」と言葉の割にはやる気の無い声をだせば、窓から出たその金髪の男の目はこれでもかというくらいにでかくなった。 「!そこを動くなよ!絶対だ!」 そう叫んで窓から顔を一瞬で引っ込め、家の中から痛々しい音を響かせながら出てきた男はすでに息切れをしていた。 ほんの数十秒で人の怪我はこれほど増えるのか?というほど彼の顔には傷が増えていて少し可笑しかった。 「久しぶり、ディーノ」 久しぶりに見る顔に少し安心し、心なしか顔が緩む。横に居るロマーリオはあたしを見て「久しぶりだな」と笑った。 「久しぶり、じゃねえって!休みの日に誘いに行ったらヴァリアーの奴になら日本行ったって言われるしよ!何で言ってくれなかったんだよ!ってか、何しに日本へ?!」 「それはボンゴレ最大の内緒、ってことで!、それよりディーノは何でこっちに?」 「おれ?俺は10代目の顔を拝みにだな!昔の俺に似てだめな奴って聞いてんだけどよ、結構期待はしてんだぜ!」 そうか、ディーノはあのアルコバレーノに育ててもらった一人。10代目沢田の味方になるであろう。 ってことはいずれはもしかしたら・・・。もしかしたら、アルコバレーノやその他10代目達があたしを敵だとみなしたら 今はこんなにディーノと親友みたいになってるのに、どうなるんだろう? 「そっか、じゃあがんばりなよ。」 じゃあね、と言って笑った。でもディーノは何か考え込み始めたのか、返事は無し。多分よからぬことを考えているんだろうけど久しぶりの再会だし、このまま一方的に離れるのもどうかと思ったので彼の反応を待つことにした。 「よし!沢田と会うのは明日だ!今日はと一緒にいることにするぜ!」 ディーノがニカっと笑いあたしはなんとなく想像していた結果にため息をつき、ディーノの部下はあきれ返った。 |