それから、というもの小さな攻撃を受けたがすべて返り討ちにしてやった。
数学の難しい質問をあえて「さんなら解けると思います」とか指名してきたおかげで無駄に頭を動かした。まぁ全部即答してやったけど。そのときの悔しそうな顔といえば面白い以外のなんでもなかった。






Mi chiamo arma.








次の時間は体育らしい。
あぁ面倒くさい。体育で走ったからって何になる?全然楽しくもなんともない。バレーだのバスケだの。あたしにしてみれればつまらない競技だ。
恭弥にでも会いに行こう、とカバンを持って教室を出た。皆着替えてるのにいきなり出て行くあたしには少しびっくりしたらしい。



応接室、どこだっけ?


恭弥の気配を読み取ってとりあえず廊下を歩いていると、今まで感じたことの無い少し強めの殺気が近づいた。立ち止まって後ろを振り返ってみると下のほうに小さなスーツを着た赤ん坊があたしを見ていた。

「・・・アルコバレーノ」

「・・・ヴァリアーのが何のようだ。」

目の前にいるアルコバレーノ、リボーンは表情を変えずに、でも手には銃を構えてあたしに聞く。銃を構えたって無駄なのに、何やってるんだろう、この赤ん坊は。つくづく意味がわかんないな、アルコバレーノって。
だってディーノが跳ね馬になったのって何年もまえよ?なのに、まだ1歳って、どういうことよ。

「教えて欲しい?」
「9代目が10代目に選んだのはツナだ。変なことしてみろ。即殺すぞ。」

あ、このチビの勘違いはめでたい。「沢田を殺してザンザスをボスにしようと思ってる」とか考えてる。カチャとこのガキの銃がなった。どうやら安全装置をはずしたらしい。
だから、その行為自体だって無駄なんだって。だって銃弾なんてあたしつかみ取れるしまぁコントロールしたら体をするりとすり抜けてくれる。こいつはわかってないんだろうか、世界No.1のこのあたしの強さを。

「あたしの予定を邪魔してごらん、それこそ沢田ファミリー壊滅してあげる。数時間前にあたしの暇つぶしで死んで逝った暴力団グループのように、ね。まぁ、今回の任務は根本的なものは不本意ながら沢田ファミリーのためになることだから放って置いてくれればいいんじゃない?気になるなら調べてみなよ。」


調べれるものなら、と言いながら人差し指をアルコバレーノの頬に向け「バァーン」と言った瞬間、アルコバレーノの頬を何かがかすったらしく血がにじんだ。アルコバレーノが小さく舌打ちしたのがわかる。まさか指先が拳銃のようになってるなんて思わなかったんだろうな。鎌鼬の一種だ。指先から出る鎌鼬はピストルと同じ威力を持つ。

なんだかこれ以上こいつと絡んでても楽しめなさそうなので、チビが人よりも数倍も早い瞬きしたほんのわずかの間に姿を消してやった。



応接室にすぐにたどりつき、ノックなしで入ってやる。入ってすぐに不機嫌な顔の恭弥が見えてなんだかおかしかった。
「君、ノックして入れとか習わなかったの?」
「残念、あたし学校というものに今まで通ったことないからね。」

少しだけむっとしたらしい雲雀はなんとなく口をヘの字に変えた。

「そうそう、今日のニュース見た?」
「ニュースって隣町の大量変死事件?」

事件が起こった特盛町に小盛町は、この並盛の隣町にあたる。彼はあの事件のことをどう考えてるんだろう?
少なくともここらへんの治安とか守ってるらしいので心中穏やかじゃないだろう。

「そう、それ。どうする?あの殺人犯が並盛にいたら。」
「・・・あれが殺人?君頭大丈夫?」
「えぇ、至って健康。大真面目。」
「だいたい両団体の死亡時刻が同じじゃないか。単独でなんて無理に決まってる。殺人犯が複数だったとしても目撃も何もない。それにもしも殺人犯が並盛にいたらそれは僕が咬み殺すよ。」

「そう、じゃあさ、咬み殺しなよ。今あんたの前にいるこのあたしをさ。」

そういうと雲雀はあたしを睨むように見た。

「正気なの?君って本当一体何者?」
。並盛中学2Aのただの女子生徒。」
「そういうことを聞いてるんじゃないよ。」
「あえていうなら、偽名。」
「どういう意味。」
「本名はは4日くらい前に付けられた名前。」
「ますます正体がわからないね。」
「そりゃあね、あたしは闇そのものだもの。ただいえるなら・・・簡単に人を殺してしまう殺人鬼?」

ほら、と言いながらひらりスカートを捲ってみると行為に対して雲雀は「何してるの、」とあせるように言ったけど太もものホルスターにささったピストル3丁を見て眉毛がピクッと動いた気がした。

「それ、本物なの?」

きわどい感じに捲くったスカートからでる太ももよりも太ももについてるピストルのほうが釘付けらしい。まぁそのつもりでスカートはめくってみたんだけどちっともピストル以外に視線を向けようとしないので女としてなんだか悔しい。まぁそんなことはどうだっていいんだけど。

「うん、常備してる。だからあたしはスカートこんなにいつも長いの。」
そう言ってワルサーPPKを抜き取り、恭弥の手のひらに乗せた。表情を変えずにまじまじとソレを眺め、なぜかあたしの目の前に銃口を向けた。

「撃っていい?」

本当こいつの考えてることはわからない。なぜ自分の銃で撃たれないといけないのか。果たして撃たれたところであたしは普通に死ぬんだろうか。愚問、答えはNOだ。その前に絶対に撃たせてやらない。銃口に人差し指を突っ込んでやった。

「君がソレを撃ったところで、あんたのその腕とあたしの指が吹っ飛ぶだけだけど?ああ、むしろあたしは指さえも無傷かもね。」

それが良い、という究極のドMならどうぞ撃ってください。そういうと恭弥は少し笑いながら銃をあたしに返した。ここでもしも撃ったってあたしはするりと分身に変わって無傷、恭弥は腕が吹っ飛んで重症。結局はこの皆に恐れられている恭弥でも絶対にあたしにだけはかなわないのだ。だって、あたしは普通じゃないもの。

「本当、君にはかなわないよ。」
「そりゃあね、あたしより強い奴なんていないよ。」

二人で軽く笑いながら態勢を直して普通にソファに向かい合って座った。彼の淹れてくれるコーヒーは案外美味しくてまた飲みに来ようと思った。


体育終了のチャイムが鳴り響き、今日一日サボるわけにも行かなかったので、じゃ、そろそろ戻るわ〜と言って応接室を出た。また来なよ、と小さく言ってくれたのが、少し嬉しかった。


□□□


ガラガラと 扉を開けて中に入るとすでに皆体操服というものから制服に着替え終わっていて一気に注目された。

「何体育サボッてんだよ」
「どうせ運動音痴なんじゃねぇの?」
「はははは!!ぜってぇそうだな!」

なんだかまわりに男子が集まってきてあたしを少し同情する感じで見てきた。しかも何よ人様の肩に手を置いて笑ってくれてんの、え、何?まじで腹が立つんだけど。だってさ、50mくらいなんて走っても一瞬、瞬間移動もいらない。

「何勘違いしてんの??あたしが走っても君達の自信喪失につながるだけじゃない。だからサボってあげてんのに。」

手を払いのけてため息をついてみると「もしかして負け惜しみ?」とか言ってクラス全体で負け惜しみコールが始まった。沢田たち3人組は部屋の片隅にて無表情であたしを見ていると思う。なんだか任務放棄で今すぐ殺してやりたい気もしたんだけどそこはあたしは立派なマフィア。何歳だかわかんないけど子供じゃない。必死で抑えた。

「だから、さ。」

ちょっとビビらせてやりたくてあたしの居る一番後ろの入り口から遠い場所で負け惜しみコールに参加してる男子が瞬きした瞬間に軽く地面を蹴ってみると教室の負け惜しみコールがやみ、その代わり見えたのはさっきまで一番遠かった男子の驚く顔が目の前にドアップ。

「ねーえ、理解できるかなァ?君達との違いが。」

あたしの中の「走り」を見せてやったのだ。一瞬で居た場所から消えて離れた場所で立っていれば誰だってびっくりする。

驚いてる皆の中でただ一人ウザイのがこいつ。

「うっわうっわ!すげぇ!ちゃん今のどうやったの!!俺にも教えてチョ〜!!」

トマゾファミリーの10代目、内藤ロンシャン。こいつのウザサは見てる限り100%だとおもう、あたしの両手をつかんでブンブンと振ってくる。何が性質悪いかって言うとこんな明るい性格して考えてることは・・・、だけどね、あたしは君の何倍も上に居る女なの。理解できるかな?

ちゃん!!・・・これでもさっきみたいに早く走れる?!」

思い切り両腕をつかまれ、ぐぐっと力を入れる。か弱い女の子なら折れてしまいそう。


“あたし”が自分の席に戻ったところで指をぱちんと鳴らす。すると、この教室に居る人物各自が瞬きするとロンシャンにつかまれてる女の子はあたしじゃなくて悲痛な顔の笹川に変わったはず。

最初からロンシャンが手を握ってた相手はあたしじゃなくて笹川。あたしは走った後、先読みをして彼等に幻覚を見せ、あたしは普通に席に戻っていたのだ。

「内藤って女の子いじめるんだね」

軽く笑ってやったところで次の授業が始まるようだ。


次に与える感情は100%の驚き

(ちょっとずつ、魅せてあげる)(さぁ、固まってないで席に戻ろうよ。)