一難が去ってまた一難。 この場合、雲雀が去って、また笹川ってことだろうか?? Mi chiamo arma. せっかく眠っていたのに、近づいてきた気配で目が覚めた。あぁ、笹川か。そういえば、そろそろ昼休みの時間だっけ? あたしがその場に座りなおした瞬間、屋上の扉が開いた。 資料によると、笹川京子はどうやらこの学校のマドンナらしい。こうなったら徹底的に利用させてもらおう。 「で、何?笹川京子。」 あたしと目が合うなり黒い笑みを浮かべた。 「ふふ、あんたって凄い生意気よね。」 「そう?知らないわよそんなのー面倒くさい。早く話し終わらせなよ。面倒くさい。」 あたしがそう言って笑ってやると、笹川は笑うのをやめた。 教室で皆に見せている顔とは大違い。 「あんた、あたしに気に入られたこと喜んでね。あたし以外で可愛いとかいわれる必要ないから。だからあたしを不快にした分責任とってね。」 にやっと笑って取り出したのはカッターナイフ。まさか、まさか! この前レヴィと読んでた日本の漫画に出てきてたっけ?自分の腕を切りつけて相手を陥れてイジメの標的にさせるって。漫画の中のことが今実際に起こってるんじゃね? 「もうあんたは、並中に居れなくなるよ?せいぜい苦しんでね、さん!」 そういって自分のブラウスの上からカッターナイフで腕を切りつけた。そして次第に血が滲み出した。次は自分の顔にかする程度の傷を数箇所。 けれどあたしが満足できるような血の量じゃないし残念。どうせなら血の海が見たい。今、あたしが求めてる感触を彼女の右手が体験してると思うと恨めしい! 想像するだけで両手両足、体中がうずうずする。 普段は、気に入らないものすべてを好きなように好きなだけ殺ってた分、我慢が難しい。 そうこう考えていると彼女はあたしがやったようにみせるためあたしの方にカッターを投げ、屋上の扉を開けて倒れこみ、思い切り叫んだ。 「あーあ、カッターで腕切るならあたしが満足するまでやってあげたのに。」 小さくため息をついて小さく呟いた。 あたしがこの女の駒になると見せかけてちゃっかり自分の任務を進めよう、と向こうの都合がいいようにカッターナイフを握り締めた。 これでここに来る奴はあたしが笹川をやったとおもうはず。そしてあたしは変なうわさが流れて敵が多くなる。 ほら、ターゲットの気配が3つ。あいつとあいつとあいつ。 「きょ、京子ちゃん!!」 「笹川!」 「なっ・・・!」 聞き覚えのある3つの声。 それは紛れもなくボンゴレ3人組であって。 弁当とか持ってるし、あぁそうか、こいつら屋上で昼飯食う組なんだ。なるほどね。それでわざわざ昼休み、に屋上なんだ。 「ツナくん、!」 笹川は、とてつもない恐怖を見たかのように震え、沢田にしがみついて思い切りこれでもか!というほど泣き始めた。沢田はゆっくり笹川を抱きしめた。 「京子ちゃん・・・!どうした、の!」 「ひっ、私、何もしてないのに、!いき、なりさんに呼び出されて・・・!」 沢田それだけで状況を理解したらしく傷だらけ、血だらけの笹川を見たあとあたしを見た。獄寺なんかはめちゃくちゃめっちゃ睨んでくるし。山本もすごい黒い。 「本当に、君がやったの・・・?」 こういう場合、どういえばいいんだろう?逆上させるような言葉を選べばいいんだよね。けど普通でどんなこと言えば良いのか良くわかんないや。 「何が?」 あたしが嫌味に笑ってやると、笹川を抱きしめていた沢田が笹川に「もう大丈夫だからね」といい手を放し、こっちに近づいてきて握りこぶしを作った。 その顔、その瞳は怒りそのものだった。やっぱ、笹川京子の効力はバツグン。ありがと、目を付けてくれて。 「絶対に許さない。」 そのまま沢田はあたしの頬を思い切り叩こうとした。殴りで来るかと思ったのに、やっぱり沢田は沢田。平手打ちだった。 パシッ 実際のところ、笹川を切りつけたわけでもないのにあたしが叩かれるのも嫌だったけれどまぁ仕方ない、ってことで叩かれておいた。ダメージ0。 「ごめん、ちっとも痛くないわ。」 おかしそうに笑った後、「痛いって言うのは、こういうこと!」と笑いながら沢田の腹を軽く蹴飛ばした。本当に紙を蹴るかのよう軽くに蹴ったつもりが、彼にとってはものすごく強かったらしくフェンスまで吹き飛んだ。 「ツナ!」 「10代目!」 屋上入り口付近に居た残り二人はすぐに沢田に駆け寄った。あーあ、これが美しき友情?なんてみにくくばかばかしい!結局人間は自分が一番かわいいのに! 「喧嘩は好きだけどあんたみたいな雑魚キャラはあんま相手にしなくって。加減がわかんなかった!」 いろんなことに対して「はは、」と笑ってやると沢田は苦しそうだけどあたしを睨みつけて「ゆるさ、ねぇ!」と小さく言った。 「誰も許してとか言ってないよ、ばーか!」 あたしがあたしは屋上を出ようとした。あたしって本当今嫌な奴?言葉選ばなくたって、素で嫌な思いを与えられる。 あたしみたいな最高マフィアという立場のおかげで、普段から言葉の感情は押さえ込まなければいけないし、そもそも感情なんてあってないように作られてる分、人を馬鹿にするか面倒くさがるか、無感情のような単調な話し方をするので、こうして喜怒哀楽を付けて話したり、ビックリマーク「!」を入れる話し方は慣れない。 ただでさえ中学生・一般人というものを知らずに育ち、『普通』にすることが難しいのに、いまさらどう接しろというんだろう?? ま、いっか!と思ってしっかりと泣き止んであたしを見てる笹川を睨みつけ、用済みの屋上から出て行こうとした。 「待てよ」 後ろから声が聞こえる。これは獄寺か。タバコで3つのダイナマイトに火をつけあたしに投げようとするのがわかるが、気にせずに屋上の扉を開けた。そして、その瞬間、あたしのほうに投げる。 ドカアアアアン!!! 同時に閉めた屋上の扉に跳ね返ったボムはきっと投げた張本人たちを襲ってることだと思う。 「本っ当にくだらない連中。呆れて何もいえないわ。」 あんなに笹川京子が大事なら、あたしに構わずにさっさと保健室に連れて行けば良いのに。 一体なんだというんだ。 ・・・にしても。いい収穫があった。戦闘能力はまったく上がらないけれど殺意向上が凄いもの。山本、獄寺、共に+10!合計でいうと、山本41、獄寺42、わぁ!沢田は0から一気に20だって。 笹川京子には、もっと動いてもらおう。そして早くイタリアに帰ってストレスたまった分任務をもらって滅多切りしに行こう。あ、暇なときににジャッポーネ散策でもして殺してもよさそうなのやりにいこう。 もしかすると結構殺れるかもしれない、と思うと自然と笑みがこぼれた。 □□□ 直行で保健室に行くことにした。 この任務は、笹川京子を痛めつけることではないけれど、この先どんどん傷ついてもらうから早くにダウンされてはこっちがこまる。 それがためにわざわざ早い目に手が回って少しでも早く治してもらうように手配するのも役目。 いや、あたしが能力を使い傷をすべてもらう事だってできるけれど、仲間の傷ならもらってやったり分け合ったりできるけど・・・同時にもらった分と同じだけの痛みを伴うし、わざわざどうでもいい奴の傷をもらうのはいただけない。 あたしが保健室の扉を開けると一人の男が立っていた。そういえばこいつも一応資料には載ってたっけ。Dr.シャマル。 「あ、見ない顔だな?さては俺のかっこよさにメロメロになって不法侵入でもしたかい子猫ちゃ〜ん!」 とあたしに抱きつこうとしたのですばやく避けた。 というよりも、ここの学校はどうしてこんなにマフィアが多いんだろう?それもこれもあのアルコバレーノのせい? あたしがシャマルを睨んでいたせいか,シャマルの表情も普段のデレーッとした表情が急に引き締まった。 「で、こんなところに何のようだ?ヴァリアーのが。」 「バレてたんだ。毎回顔変えてるから気づかないと思ってたのに。」 「俺も最初は気づかなかったがな。なんとなく、だ。」 「そう。」 シャマルはあたしを警戒してるのがひしひしとわかる。 たしかにその気持ちもわからなくはない。 ザンザスはヴァリアーのボスでモスカは機械でキュンキュンいってるし、スクアーロはボス候補にもなった剣士で、ベルはナイフとワイヤー使いの天才、マーモンは術使ってレヴィは雷だっけ? あたしはもともとブイヨのために最初から強さや戦い方などどんなに調べてもすべてデータ無し。ただ皆が知ってるのは世界最強といわれ、暇つぶしに人を殺っちゃうことだけでそんな奴が並盛に来た、というのだから警戒しないはずもない。 「お前さんの目的は?」 あらあら、そんなに警戒しなくたって良いのに。あたしのほうが優勢なので、挑発するために笑みを浮かべてやる。 「さぁ?せいぜい調べれば?それよりももうすぐ怪我した姫1名と馬鹿3匹くるからよろしくね〜」 そういってシャマルに背を向け、出て行こうとしたが一度足を止めた。彼に忠告だ。 「君は確かに暗殺の天才だって言われてるのはあたしも知ってる。けど、あたしにソレは効かないってことおわかりかしら。忠告はしたわ。だからもしその手の中の蚊を放とうって言うなら、殺してあげるけど。」 じゃあね〜と言い残しその場を去った。 昔、エストラーネオが作ろうとしたのは世界を破滅させるような人間兵器。過激で負担が重過ぎる実験に何度も何度も失敗し、実験台にされた胎児達は産声を上げることなく死んでいった。 そして、奇跡的に実験に成功してちゃんと生まれてきたのがあたしたった一人だった。付けられた名前は「恭弥」や「ザンザス」や「ビアンキ」や「ディーノ」のようなキレイな名前ではなく「arma.01」 つまり兵器1号という名前だった。 こんな世界破壊を目的に作られた人間が簡単に死ぬはずもない。トライデント・モスキートなんてキレイに体内浄化される。 ---ただ、過激な実験の繰り返しで人間兵器となってしまった代償は大きく、1日1回薬を飲まないとひどい吐血に全身麻痺、呼吸困難に陥る。 ま、今日は面倒だし帰ろう。とりあえず家に帰って報告しないと。 教室に戻ると案の定静まり返ってなんだか面白かった。 が出て行ってすぐに腕を怪我した笹川京子と沢田、山本、獄寺が保健室に駆け込んできた。 「京子ちゅわ〜ん!って・・・どうしたんだそれ?!」 「転校生にやられたんだ・・・!」 「ぜってぇゆるさねぇ。」 沢田と獄寺がそういったのにシャマルは反応した。あぁ、の言っていたことはこのことか。痕が残っては大変だ、とあわててシャマルは消毒して包帯を巻き始めた。 「転校生って、、か?」 「あぁそうだ。いつか果たす。」 獄寺のその言葉をききつつ、腕にできた3本の切り傷を見て本当にがやったのか、と疑問に思った。いや、きっとこれはじゃない。 なら―――いや、やめておこう。シャマルだって実際裏社会のにあまり関わったことがない。面識だってさっきので3度目くらいだ。 「よし、できた。じゃあなお前等。気をつけんだぞ〜」 シャマルはそう言って4人を保健室から送り出した。 「あいつなら・・・ならあんなことせずに気に入らなけりゃあすぐにでも殺るだろうな。」 なんたって奴は極度の殺し好きだ。あのリボーンでさえただ唯一警戒している奴だ。データだってひとつもない、強さも計り知れないからどこまで強いかはわからないが一応ヴァリアーってことはそこそこ力もあるしベルフェゴールよりも天才とも言われている。あいつは謎に包まれすぎてるんだ。けどどうしてヴァリアーがここに?また謎だ。同じファミリー同士で何しようって言うんだ? だからよぉツナ、山本、隼人。とにかく あいつには 関わるな!! (下手すりゃあ簡単に死ぬぞ)(本当あいつ何者だよ。) |