「見事寝坊したぜ Hey!」 9時と表示してる携帯を握り締め、朝からいきなりのハイテンション。 今日からあたしは二子玉川学園高校という新しい学校に通う. っつーか、なんて読むの?にこたま?にしたま? ごめん、覚えてないや。とりあえず野球の試合で相手のピッチャーボッコボコにしたっていうニュースなら知ってる。 まじあたし野球部のマネージャーなろうかな!! まあ、今日からあたしは心機一転頑張ろうと思ってたのに、なんだこのありさま。 ちなみに新入生じゃない。いわゆる転校生だ。編入生?どっちでもいいわい! とりあえずわかることは初日完全遅刻って言うことだけ。 転校した理由なんて簡単。退学になったから。 退学になった理由?いっぱいありすぎてもうわからない。 「兄貴!なんで起こしてくれなかったの!」 「いや、起こしたのにお前が起きなかった。」 「そうか!すまん!」 1階まで降りて、仕込みをしてる兄貴に言うと結局あたしの100%二度寝。 あ、そうそう。あたしの家はラーメン屋さん。繁盛してます。 更に言うなら兄貴は元ヤン。 地元の白金学院といって私立の高校で、その中でも不良ばっか寄せ集めたクラス・・・3年D組のリーダー的グループの一人だった。そのときのリーダー的グループの仲間は今でも仲良くて、よく家に来る。 中でも、沢田慎という男が3Dの頭だ!(慎ちゃんって呼んでる!) まあ、兄貴があんなんだからあたしも釣られて、現在ヤン。 中学時代は、校区を縄張りとし牛耳らせていただいてました。桜中学という学校です。 恩師・金八先生に今回の退学事件を話すと一言こういいました。 「あちゃー!」 ほんとそれだわ。 中学の同級生には笑われるし。 あ、そうそう、兄貴のことなんだけどさ! けんかは弱い。見た目も良くない。ただ、存在感と思いやりとラーメンを作る腕だけはがっちりしてるので誰か嫁に来てください。 ・・・・って!いやいや、こんなこと言ってる場合じゃない。 「ちょ、いってきまあああす!!」 あたしはあわてて、今時の言葉で言う「ギザかわゆす〜!」な妹、弟に挨拶をし、ギザもくそもないお母さんにも挨拶をして、二子玉川学園高校までチャリをぶっとばした。 愛心★R 着慣れない制服、真新しいかばん。おかげで新入生と間違われること数回。 まあ派手な髪色のせいでおもっきり目立ったけどね! そこまで見なくても良くない?あんた達が真面目すぎんのよ! スカート長すぎるし真っ黒だし!!!! なんか家から思ったより近かったからすぐに着いた!15分くらい! 「おはよーございまーす」 職員室に着き、恐る恐る教頭らしき人物に挨拶に行き自己紹介をした。 どうやら担任はここには居ないらしい。 教頭がなんだかあたしの髪色とか、いきなり遅刻したことにについて何か言ってるのを適当に聞き流してると、目が覚めるような馬鹿でかい声が聞こえた。 「おおおお!お前が今日から俺の生徒になる熊井か!よろしくな!俺は現国担当の川藤幸一!よろしくな!」 え、この人「よろしくな!」って2回言ったよ! っつーか熱血過ぎるだろ!松岡修三もビックリだよ! 兄貴の高3の時の担任(ヤンクミって先生)(今ではあたしの姉御みたいなもん)にしろあたしの担任にしろあたしの周りには熱血人が多いな! 夢に向かって共に頑張ろう!とか言い出したらどうしよう! 「熊井!お前も俺と一緒に夢に向かって頑張ろうな!」 言ったよ!若干セリフ違うけど!!コイツ痛い!! 「はあ・・・。」 あたしは顔を引きつらせながら笑い、返事するしかできなかった。 「おっと!本当はHRで紹介するつもりだったんだが・・・まあ良い!ちょうど1時間目俺の授業だ!!皆に紹介する!着いて来い!」 そういって、担任・川藤はクラス名簿を持ち、授業の用意をしながらあたしにそういった。 いよいよクラスに行くのか!!超緊張するんですけど! 良い奴は居るのかなあ・・・。できれば陰キャラばっかりじゃないといいんだけど・・・ そうでないと、クラスのリーダーいきなりあたしが握ることになるよ。 今のところ今日会った生徒全員あたしと違うくさいにおいがする。 あたしには、中3の時に中学のリーダー争いで道田というライバルが居たんだけど(比べ物にならないくらいあたしが強かった)、陰キャラばっかであたしが浮いてしまうくらいならそいつでもいいからクラスに居てほしい! 「熊井!俺はB組の担任だ!ちょっと意地っ張りな奴が多いけど見んな良い奴だ!」 びびびびーぐみっすか! さんねーんびぃぐみぃ!きんぱーちせーんせ− ならぬ、 にねーんびぃぐみい!かーわとーせーんせー!っすか。 あたしB組多いなあ・・・。 A組を通り過ぎるとき、チラッとクラスの中が見えたけど真面目そうな奴ばっかり。本当に大丈夫かよ。こんなんなら春休みおとなしくしておくんだった。 つまらなくても前の学校のほうが張り合える人居た分、良かった。 そして、B組の前についてあたしが深呼吸しようとしていると川藤が「よし、じゃあはいるぞ!」といい、反応する前にソッコー開けてあたしを強引に引っ張って中に入っていった! 深呼吸してるときに不意打ちとか、心の準備が、まだ! 「ちょちょちょ!こける!!」 「おお!すまん!」 川藤は手を放して思いっきりあたしに頭を下げた。(こいつ・・・!) 「いや、大丈夫ですけど!」 「そうか!悪気は無かった!」 「わかったってば!大声出さないでよ!」 「あっ!すまん!」 なんなのこの先生。ぜったいオレオレ詐欺とか引っかかりそう。 っつーか、謝るの趣味!? 「だ、誰ですか、先生・・・」 川藤があたしに謝りまくってるとクラスの子がそういった。 そうだ!あたしは転校生!楽しい高校生活を送るにはどんな人間がいるか、そして第一印象が肝心! クラスの人を見渡すといやでも目に入ってくるその集団にあたしは少し固まった。 ・・・いや、もう陰キャラとかどうでもいいよ。 濃い。濃すぎる。 いくら陰キャラは嫌だといっても兄貴や、慎ちゃん位の程度の不良さを求めてただけなんです。 もう、いかにもなんか罰ゲームは釘バットでケツバットしまーす☆的な人が教室の後ろの席を占領してる。 ありえねー!ロン毛にドレッドに金髪にモヒカンにひげに軽いリーゼントに変な髪形! まじ濃すぎだよ。ケインだよケイン。名づけてケイン’sだよ! 中間的な人間は居ないの?ねえ、居ないの? でも、周りから見ればあたしも明るい茶髪にメッシュのエクステだしケイン'sの一員なんだろうなあ・・・。 しゃあない、男と仲良くするのは得意中の得意だ!ケイン'sに入れてもらおう!・・・でもなんだか入れそうに無い気もするけど。 「いいか!この子は今日からみんなの新しい仲間だ!仲良くしてやってくれ!」 川藤はニコニコしながら皆に言う。ほら、お前からも一言!と促されたのでとりあえず自己紹介くらいはすることにした。 ちょ、後ろのケイン達あたしのことガン見?!金髪のハーフみたいな子なんて、むしろガン見って言うか睨んでる!? ま、気にしないけど。っつーか、前言撤回!ケイン's入れなさそう。敵意むき出しじゃん!!あぁ、あたしはあと2年間孤独に過ごすのね! で、でも、諦めない!(何キャラ) 「熊井ってゆうからよろぴく!好きに呼んでくれて結構!あ、でもクマって呼んだら頚動脈絞めるから!クマちゃんって呼んでもバックドロップかますか延髄斬りかますから注意してね! あ、じゃあどう呼べば良いかって話なんだけどでもちゃんでも嬢でも女王でもなんでもいいから!」 ちゃんと怖がられないようにウインクまでつけたのに。これが、もしかして逆効果だったのか。 回りドン引きだ。 「くーまちゃん」 ええ!?さっそくナメられた?声の方を見るとケインズのロン毛ですこし小さい、目の細い男がニコニコしながらあたしをそう呼ぶ。 ああ、ナメられた。いきなり、初日から、ナメられた。 もしかしてこいつが頭かあ?こいつがそういうと、ケイン達がみんなニコニコしはじめた。 あたしも、ニィーっと笑ってそいつと目を合わせた。 「あんた、名前は?」 「安仁屋恵壹ー」 「は?あにゃ?」 「ちげーよ!!あ、に、や!」 よーし覚えた!とあたしは笑顔をで言い今まで立ってた廊下側から、安仁屋の居る窓側まで移動した。 「そうか、安仁屋恵壱さんよ、」 そしてその場にかばんを置きあたしは笑顔を消し安仁屋に向かって走った。 まあ、助走の様なもんだけど。 安仁屋に向かってジャンプ!そして足を伸ばす。驚きで顔をむちゃくちゃ引きつらせてるこいつの顔は最高!!周りの皆も川藤も、いきなりのあたしの行動にめちゃくちゃ驚いてる。 まあまあ、安仁屋さんよ。 クマちゃんって呼んだこと 「死んで償え!!」 (安仁屋ああ!!大丈夫かああ!!!)(まじで延髄斬りしやがったよあの女!) |