あの後、ぜんぜん乱闘が治まらなかった。

周りはとめるどころか盛り上げるばっかり。いやいや、誰か止めろよ!むしろとめてくれ!と思ったけど面倒だからやめた。



なので、もうヤンクミと職員室に行くことにした。


「いやあ、まさか兄妹そろってヤンクミの世話になるなんて!」
「まさかの担任になるなんて、ビックリだよこっちも。沢田達は元気か?」
「慎ちゃん?うん、むっちゃくっちゃ元気だよ。とくにウッチーとか、夜中に来て騒ぐから、寝れない。」
「あいつらまだそんなことやってんのか!」
そういいながらも、ヤンクミは嬉しそうだった。
今度同窓会か何か開けば良いのに。



愛心★G



職員室について、先生に挨拶を済ませた。
鮎川先生には「かわうい〜!」とかいって抱きつかれ(そんな柄じゃねーし)
鷹野先生には異動になったことを教えるとメモ取られた。(いいしそんなの覚えなくて)
猿渡先生は、面白い!!顔が。
馬場先生は、なんか、うざい。


後は印象に残らないウザさだったから良いや!

今は3Dの資料を見せてもらってるところ。

緑パーカーは倉木悟というらしい。
さとるなのかさとしなのかどっち!

倉木の横に居た口が大き目の男は市村力哉。
・・・普通。
その二人の奥に座ってた3D頭っぽい人は風間廉というらしい。
この子、けっこう男前だなあ!!

そんで、倉木を挑発した金髪の男の子は本城健吾。
かわいらしい顔してエグいこというもんだね!!

その横に居た男前な彼は神谷俊輔、というらしい。
ちょっとホストみたい。
こっち側の3D頭は緒方大和。


どちらかといえば、風間廉のほうが好みだからそっちを応援したい気持もあるけど
でも、本城健吾と神谷俊輔も好みだ。

チーム入れ替えとかしてくれないかなあ・・・。
プレステのコントローラーのR1ボタンとかでチーム編成とできたら良いのに。



ちなみに、一番最初に目が合った、10浪位してそうな彼は細川丸男というらしい。
もう、名前にぴったりだと思った。たしかに丸い!
マルオて!まるこちゃんじゃあるまいし、マリオとも言えないし。なんだか素晴らしいな!


「・・・よし、教室戻ろう。」


とりあえず、目指すは席の確保だ。







「お、乱闘治まってるジャン。」

あたしが入っていくと、さっきの乱闘は嘘のようになくなっており、元の3Dに戻っていた。
倉木は「何しに来たんじゃあ!」とかいうから「席探しに来たんじゃあ!」とまねして関西弁で言ってみたら、少しひるんだらしく黙った。

とりあえず、教壇に立って「はーい、静かに!」と教師ぶったこといってみる。

「あたしの名前は、熊井!呼び方は何でも良いけど、クマとかクマちゃんとか呼んだ奴はとび蹴りとかするからね!だから、とか、ちゃんとか、様とか、嬢とかでいいから!」


様やってさ!笑わせよんなこいつ!こんな奴熊野郎でええやんけ。なあ?廉!」

また倉木か!
クマとか、クマちゃんならまだしろ・・・クマ野郎?!

あたしは全速力で椅子の上にしゃがんで風間と笑い合ってる倉木の方へ走って行き、右側を通り過ぎる寸前で左腕を横に伸ばして倉木の鎖骨あたりに思い切りぶつけて

ラリアット!」

リキラリアットならぬ、ラリアット。倉木はそのまま椅子から吹っ飛んで後ろの机に背中から見事に落ち、最後は床に仰向けになった。

「ちょ、お前何しとんねん!」と市村がそういうけど無視だ。

「アーンド、エルボードロップ!」
「げへっ!」
仰向けの倉木の腹に向かってあたしは倒れこむように肘を入れた。そして追い討ちをかけるようにアキレス腱固め。

「この野郎!死んで償いやがれ!」
「ギブギブ!」
「さぁ!あたしに何か言うことは無いかね倉木君!」
「ごごごごめんなさい!イテテテ、まじ堪忍してくれ!」
風間廉が、あたしの一連の完璧なプロレス技に目を見開き顔をゆがませ「何者だよこいつ」とでも言いたそうな目であたしをみてた。

近くの人はちょっと後ろに後ずさりするように引き気味で固まっている。


「クマちゃんとかクマとか呼んだらとび蹴りだけどさ!こいつ、クマ野郎って言ったからあたしの難易度1の技全部披露してやったよ。次やったらまずバックドロップから始まる難易度2の3連続だから覚えといてね!」

ただでさえ変な印象もたれてるのに余計になんか変な印象もたれ気がする。

まあ、慎ちゃんたちや隼人たち。
不良という不良たちは仲良くなれたからこいつらも徐々に仲良くなれるはず!

「さ!席どこすわろっかな〜」


、こっち来いよ。」

声のほうを見ると、緒方大和があたしにそういった。やっぱリーダー格くらいになるといきなり呼び捨てなんだ。
リーダー格くらい・・・リーダー格cry・・・。

「こっちの席、あいてるぜ。」
「まじ?じゃあそうしよっかな〜」

あたしが緒方のほうへ行くなり、本城がハイタッチを求めてきたので「へーい!」とテンションをあげてハイタッチを交わした。

「お、ノリいいじゃん。」
「いやいやいや、あんなプロレス技仕掛けといてノリ悪かったらそっちのほうが怖いじゃん
「まあね!で?ちゃんが男子校舎来たのは何で?」
「それ俺も気になったー!ちゃん何したの?」

おっと、本城と神谷はちゃん派かあ!それも新鮮でいいかもしれん!
なんだか、周りもなんでここに来たのかは興味があるらしく、さっきまで死に掛けてた倉木や、ドン引きの風間も全員こっち見てる。


「何したって?思い当たることが多すぎてわかんない。とりあえずサボりの常習犯で、出た授業の10分の9は睡眠学習だった、ってのは関係、無いかな? あ、あたし女子科全体の頭張っててさ。
なのに、違う変な女が頭だとか自分で言いだすから格の違いを優しく教えてあげたり・・・。他に、我慢できずに授業中タバコ吸ったり、プリントに燃え移って小火騒ぎ起こしたり、友達がいじめられたときはいじめた奴を半殺しにして、」
「いやいやいや、もういいよ、痛すぎるくらいわかったから。」

途中で神谷が止めた。

「え、もうういの?」
「うん、ちゃんこっち来た理由、ものっそい分かる気がするから。」
「俺も。、お前気に入ったぜ。その、熊より凶暴なところ。」

「なっ!」



そんな失礼な!!

(こいつらヤンクミの恐ろしさ知らないから・・・。)(知ったらあたしが可愛く思えるよきッと。)