「やややってしまった!」 携帯を見れば充電はきれている。オーマイガット!! あわてて充電器に携帯を挿し電源を入れ時間を見るとびっくら仰天! 「はっちーじはーん!」 寝坊クセはどうも中学の時からついてるらしくどうも治らない。 見事に8時半!(あ、31分になった!)HR始まるのって40分からだよね? 急いで用意すれば9時までにはつくはず! 女子高時代ならすっぴんで行って休み時間に化粧するって言うのもありだったけど、男子校の男子集団の中でそれは流石にまずいぞ熊井! あたしだって、あたしだって・・・!一応乙女なんだもん!(うざい) ちなみに彼氏いない歴1ヶ月と23日。アレ?24日?ああくそ、どっちでもいいわい!とにかくもうすぐ2ヶ月になろうとしてる乙女だあよ! なので誰かそろそろもらってやってはくれやしねぇかこの野郎。 でも大丈夫だヨね!兄貴だってあんな熊みたいなんでも結婚して(しかも初恋だってよ!)もうすぐ子供生まれそうだし! 今兄貴は23で、結婚したの去年で・・・22で結婚だって!何目指してんだこら! 「オーマイガットトゥギャザー小出水ぅぅ!」 変な語りをしてる間に42分になってた。 このまま休んでやろうかと思っても担任がヤンクミ。 あたしの恐怖の、いや、尊敬する姉御的存在!多分、休んだら明日は一方的にスデゴロ・・・つまり素手で殺される!! とりあえず化粧を丁寧、なおかつ超スピーディーに済ませ、髪をセットして制服に着替えて1階に降りる。 「おっはよー!」 「また遅刻ー?!」 「しっかりしてよー!」 キッチンのテーブルでのんきにパンをかじってる弟と妹にあった。 あ、ちなみにうちの家はラーメン屋だ。 店の裏側では普通の家庭が広がる一軒家。 店に入ってすぐ左手に厨房があってさらに左に行くと奥にドアがある。そこを開けると玄関みたいに靴を脱ぐ1m四方のスペースがあってその奥にまたドア。それをあけると熊井家のキッチンへ繋がるのだ!もうそこはごく一般的な家庭が広がってるっていうわけ! あたしには兄貴のほかに中学生の弟と妹がいる。懐かしき我母校、桜中学に通うのは4月から中3になった弟・優輝と、新入生の妹・輝羅。 優輝は坊主で剃り込みを派手に入れてて学年で1番ヤンチャらしい。前に中学の時の先生に会ったときに「お前の弟なんとかならんか、3年前のお前が蘇ったみたいで・・・助けてくれ」といわれた。 妹、輝羅は3年前までおとなしかったのに、最近あらゆるところにピアスを開けだし、鼻に口に舌にに耳にへそに(・・・)あたしでさえ耳とへそと鼻と・・・ってあんま変わんないジャン!まあ髪型は3年前のあたしを思い出させるような茶髪に紫色のメッシュを入れてる。 兄貴やあたしが歩んできたヤンチャ道を同じように辿ろうとしてる。熊井家4兄弟姉妹、全員ヤンチャとか、もうこれ救いようねえな! でもでも、ちゃんとうちらは家族愛がすごいんだから大丈夫。 あたしが中学時代、中学生の間で白金学院3年D組沢田慎や、うちの兄貴といえば。黒銀学院3年D組小田切、矢吹といえば、それはそれは当時不良の間ではものすごく憧れの存在であって、有名だったわけよ! それと同じように、今の中学生の間では慎ちゃんや兄貴、隼人に竜も有名だけど、桜中学3年B組熊井、が1番有名みたい。 だから優輝や輝羅は不良間の有名人物を二人も兄弟に居るわけだからだいぶと鼻が高いらしい。 「あんたら今日学校は?!」 今日思い切り火曜日ですよね!なんでこんな時間にこんなのんびり・・・!もしかして二人そろって学校いくきなくてサボるとか?それはまずい。あたしみたいに頭悪くって、高校も選択肢なくって変な高校はいっていきなり異動だ!とか宣告されたら・・・! 「ゆうき!きら!学校は、ちゃんといきなよ!」 あたしがちょっとこの二人の未来を想像してそういってあげると二人はため息ついた。 「っつーか、学校行くのは姉貴ジャン。」 「あのね、今日創立記念日で休みなわけ。だから、時間に崖っぷちなのは姉だけ」 まじっすか!それを聞いてあたしは安心したのと同時に般若の顔が脳裏をよぎる。 「そうか!ゆっくり休めよ可愛いわたくしの弟、妹よ!・・・さらば!これが遺言になったときは、そのときはあたしの部屋のベッドの下のポテトチップス食べて良いから!」 亜美ちゃん(兄貴嫁)にいってらっしゃいって言われていってきまーすって返事して店に顔出して兄貴に行って来る、とだけ言い慌てて玄関に行って履きつぶしたローファー履いてダッシュで学校に行くことにした。 □□□ 「般若勘弁!般若まじで勘弁!スデゴロ般若ああ!!」 全速力でかばんをリュックみたいに背負って走ってると近くの公園から見覚えのある3人衆が出てきた。 3人はあたしの顔を見るなり「げっ」と言いたそうな顔でこっちを見た。緒方大和の敵グループだ。 でも基本あたしには関係ない。 「お!羞ちし・・・いやいや、クラスメートよ!おはよう!」 「お前今俺らのこと羞恥心ゆおう思たやろ!」 「誰が羞恥心じゃこらア!あいつらより頭ええわ!」 でたよ関西二人組。風間にいたってはあたしを嫌そうな目でみる。多分きのう大和にこっちこいって言われてずっとそこに居たからあたしは大和派だと思って敵対視でもしてるんだろうね! 「てゆか俺らの名前覚えてへんちゃうやろなあ!」 うっわ、まさかそこ突っ込むか!なんだっけな、名前。 昨日調べて覚えたはずなのに、なんだっけなんだっけ! 大和と健と俊は覚えた!(あと細川まるお)けどこいつらあんまし絡まなかったしなあ・・・。 「お、覚えてるに決まってるジャン!同じクラスの仲間だよ!?」 あたしがそういうと風間は「目、泳いでんぞ」と一言。 「・・・い、市原に倉田に風間でしょ?下の名前なんてしーらない!」 「いやいやいや!なんで廉のだけ覚えて俺らのは微妙なん!?」 「ほんまそれやっちゅうねん、俺は市原やのうて市村や!市村力哉!」 「俺も倉田やなくて倉木!下の名前は悟や!」 関西人怖えええ! 「了解しました!っつーか、風間、なんでこんなとこに居るわけ?」 あたしがそう聞くと風間たちはちょっと視線をはずして気まずそうに黙った。 「・・・大和と頭きめるためにタイマンはってたら・・・ヤマグチの奴とめやがってよ。」 それだけ言うと3人はものすごく不機嫌そうな顔をした。なんだ、そういうことか。もっとサボりとか遅刻とかの部類かと思ってたのに。サボりなら今から一緒に般若のところへ行ってもらおうと思ったのに!! 「タイマン、頭ねえ・・・どーせいっちょまえに棒で殴り合おうとか考えたんじゃないー?」 あたしがそういうとなんだか図星だったのか風間は目を少し泳がせながらあたしから余計に視線をはずすようにキョロキョロっと辺りを見た。 「ヤンクミ、タイマンは絆深めるから好きなんだけどさ、戦国武将みたいに武器振り回してたら卑怯でしょ?だから止めるんだって!っつーかさ、武器で喧嘩して楽しい?やっぱあたしは素手のほうがこの感触ってゆうの?好きなんだよねえ!」 目を輝かせながら言うと3人ともドン引きしてた。 「でも風間さ、実は頭とかそんなんどうでも良いって思ってんでしょ?」 この色男!と肘でつついてやると振り払われて、うっせえ!とだけ返し「行くぞ」と倉木と市村を連れてどこかへ行ってしまった。 「あっちゃー!案外うっちーに性格似てるト思ったんだけどなあ。」 チャラけるけど周りよりも人を見てるとことか、まともなとこはまともなとことか。 でもまあうっちーはかなーりの女好きだからそこだけが違うかなあ? 超不機嫌だったなあ。倉木と市村は何とかは簡単に打ち解けられそうだけど風間はなあ、難しいな。 「あ!いっけない!般若に殺される!」 時計を見てヤンクミのことを思い出してあわてて学校へ走ることにした。 あれっ?? ・・・が、後ろから懐かしい声が聞こえてきたのだ。 (ちょちょちょ!久しぶりジャン!)(3ヶ月ぶりくらいかニャ〜?) |