恋次とはこれ以上無いくらいに上手くいってるはずなのに、あの女死神が物凄く気になる。 確か名前はだったとおもう。 しかも六番隊の四席であたしとポジション的には同じ。 やっぱり嫌だなあ。 ![]() これまでも何度か鍛錬も一緒にしているところを見たことがある。 しかもわざわざ十一番隊にやってきてだ。 あたしは書類整理しながら、さらにやちるの相手をしながらチラ見。(鍛錬する暇ないよ) 「あー!またちゃん、れんれんのこと見てる!本当に好きなんだねぇ!」 やちるには良くそういわれていた。 言われるたびに「大好きだよ、」と答えていた。そういえばやちるとは怪我してから1度もあって無いなあ・・・。 恋次は本当にあたしなんかで良いのかな。 もっと可愛い子がお似合いなのに。 恋次が強い分、女の子はか弱いくらいがつりあうんじゃないんだろうか。 なんであたしなんだろう?戦闘部隊唯一の女だよ。 四席って言っても十三番隊の副長昇進の話しもあったくらいだよ。(更木隊から抜けたく無いので断ったんだけど。) やちるも隊長のところへ行ってしまった。 一角も弓親もまだ鍛錬中なわけで、部屋の中で今あたしは一人きり。 そうなると嫌でも考えてしまう。 最初は恋次の恋人になれただけで嬉しかった。 今考えると、あたしが告白して仕方なく付き合ったんじゃないかな? いやいや!そんなことない、よ。 あたしのこと愛してるって言ってくれたもん、ね。 でも、恋次にあたしは似合ってない、と考えれば考えるほど心が痛んだ。 最初は余計なお世話だ!と思っていたけど いわれれば言われるほど不安になる。 気分転換に乱菊のところへ遊びに行こうか。 筆をおいて、皆が気づかないうちに霊圧を消して隊舎を抜け出した。 そんなとき、あたしが通りかかった部屋の中であたしと恋次の話がされていた。 とっさに霊圧を消して影に隠れて耳を澄ます。きっと六番隊の死神だ。 面白話、というように話しいるのだろうか。 声色がかなり楽しそうに聞こえる。 「ねぇ、阿散井副隊長とよりのほうが似合ってない?」 っつーか平のくせにフルネームで呼び捨てってどういうこと? なんだかかなり腹立つ! 「あたしもそう思ってたんだよね〜!さんって、凄い良い人だし、綺麗っちゃあ綺麗なんだけど、」 「なんだか釣り合ってないよねー。」 そういいキャハハ!っと笑い始めた。 「はさ、小さくって可愛らしくって本当良い子よね!」 「本当それ!最初貴族の娘かと思ったもん!」 「2人がくっついたほうが、良いんじゃない?」 だよねー!と笑い飛ばす彼女達。 きっとあたしのことは見えてない。 おとなしいとかそんなのじゃなくて化粧も濃い派手な身なりをした軍団だ。 何人か関わったことある。伝令よこしてくれたり書類持ってきてくれたり。 確かって子はこの子達と仲良かったように思う。 怒りよりも悲しみのほうがこみ上げてくる。 やっぱり、周りからも釣り合ってないって思われてたんだ。 最悪、さいあく、サイアク! あの子達なんかに言われなくても十分解ってる。 嫌になるくらい自覚してるんだってば。 でもソコまで言われなくちゃならないほどにあってないの? じゃあさ、あたしはどうすれば良いのよ、こんなに好きなのに! 無意識にため息が出た。 (何しに外出てきたんだっけ。) 乱菊のところへ遊びに行こうなんて事はもう頭の中から消え去っていた。 「どうしたんだよ、ため息吐いて。しかも霊圧まで消して。」 ボーっとしてたからか、一瞬誰の声か理解できなかったがすぐに恋次だとわかり振り向く。 嬉しさ半分、よく解らない感情が半分。 とにかく今は会いたくなかったのに。 「ボーっとしてたらまた怪我するぜ?ただでさえどんくせぇのによ。」 「うるさいなぁ、放っておいてよ」 むしゃくしゃしているせいでどうも口調が喧嘩腰になる。 どんせぇ奴。この言葉が今のあたしにはひどく重くのしかかる。 こんなんだから可愛くない奴って言われるんだ。 どうにかならないかな、この性格。 「今日なんか機嫌わりぃな。なんかあったのかよ。」 急に心配そうな声に変わる。 「っ何もない!・・・今は1人になりたいだけだから、そっとしといて。」 そう言ってもまだ何か言いたそうだったので目の前に居る恋次をおもいきり押し返す。 「何も無いってば!向こう行ってよ!」 少しだけよろけた恋次もちょっとイラッと来たみたいだ。霊圧が少しゆれた。 「んだよ、今日のお前おかしいぞ。」 声色もどことなく怒声を含んでいる。 当たり前だ。心配してくれてるのに突き放すようなこといっちゃって。 怒らせるようなコトしたんだから。 「放っておいてって何度も言ってるでしょう!?」 せっかく心配してくれてるのに睨んで怒鳴ってしまった。 心配してくれることが本当はとても嬉しいのに。 まったくあたしったら天邪鬼だ。 さいてい。こんなんだから我侭だって言われるんだ。 きっとこのまま突き放される。そうおもったのに、恋次は呆れた様子でため息をつく。 「何があったんだよ?」 だけど、どうやってこれを伝えれば良いのかもわからないために不貞腐れてしまったのだ。 だめだと解っていても今更機嫌を直してしまうのも気恥ずかしい。 「知らない。あっち行って。」 あたしがそう言えば、恋次はさっきよりも呆れた、と言う顔を露骨にした。 無償に腹が立つ。 「本当おまえは可愛げもくそもねえな。」 「・・・っ!どうせあたしは可愛げなんて無いわよ!悪かったわねこんな女で!それならこんなあたしよりもっと可愛げのある女の子でも探したら良いじゃない!そっち行けば!?」 言ってからハッと気づいた。言った後?いや、言ってる途中で何言ってるんだろう自分、と思ったけど止まらなかった。 後悔は、とても大きい。 「あ、いや、その」 あたしの言葉を聞こうとはしてくれず、あからさま怒った顔でその場を去っていった。 ――やっちゃった…。 奴当たり、って言う奴。しかも、悩まされてる張本人に。 髪の毛をくしゃっと掴んで壁にもたれかかった。 「やっばいよねー、これは。」 恋次絶対怒った。当分口きいてくれなさそう。 参ったなあ。 本当にって奴のとこに行っちゃったら、 捨てられちゃったらどうしよう?そんなの絶対ヤダよ。 今のあたしは、恋次に似合ってないなんて噂よりも、恋次に捨てられるほうが今は怖い。 想像しただけで背筋が凍る。似合ってようがにあってなかろうがあたしには恋次だけなのに。 ひどいこと言っちゃった、さいていなあたし。 目にはうっすら涙が浮かんでいた。 Next |