「恋次〜、ご飯いこ!」

今日はあたしが6番隊の隊舎まで迎えに行く。
いつも先に終わったほうが相手を迎えに行くことになっている。ソレが今日はあたしだった。
迎えに来てくれるのも、迎えに行くのも別に嫌いじゃない。




Loss of Love





彼とはもう何十年のお付き合いだろうか?あたしと恋次は真央霊術院時代の同期で、その頃から付き合っている。
もちろんソレを知ってる人は少ない。
真央霊術院時代の同期の友人、桃とイヅル。そして偶然いちゃつき現場をみてしまった理吉君だけ。
何故言わないのかといえば、なんとなくだ。

ひどい奴は、恋次と朽木さんが付き合ってると思い込んでる奴も居る。
ソレが原因で、あたしと恋次が付き合ってるというようには誰からも思われないわけだ。


そして、つい先月にプロポーズをされ、婚約した。来月には結婚することになっているのだ!お互い親がいない分進む話は早い。そして、これはまだ誰にも言って無い。
言いたくてうずうずしている。
結婚の決め手となったのは、恋次が2ヶ月前6番隊の副隊長に昇進したことだ。
お互い趣味が合うので結婚式の内容などはすぐに決まったのでもう落ち着いている。



「おう!あとちょっとだからちょっと待っとけよ。」

執務室には既に皆昼食に出かけているらしく中には恋次しか居なかった。

「あとそれだけ?よし、手伝ってあげる!」
あと10枚くらいの書類を5枚ずつ分けてやり始めるとすぐに終わった。

「あ〜、疲れたぜ。」
「これだけで疲れたとか言わないでよ!あたしなんて・・・」
「ははっ、確かにな!」
そういってあたしの髪をなでた。

あたしは10番隊の3席だ。
松本副隊長がサボった分、日番谷隊長とあたしに全部来るけど、隊長は常忙しそうなので、ほとんどあたしがやっている。


「ほどほどに頑張れよ。」
「うん!大丈夫」

ニヘラっと笑うと、髪をなでていた恋次の手が後頭部を支え、そのまま薄目にあけた恋次の顔が近づいてきたので目をつぶった。もう片方の手も背中に回って、きつく抱きしめられたと同時にくちびるにぬくもりを感じた。

あたしも背中に腕を回すと、もっと力強く苦しいくらいに抱きしめられてなんども角度を変えた。

幸せに浸っていると、ちゅ、というリップ音を残して恋次が離れた。
「恋次だいすき!」
ぎゅっと抱きつくと「俺も、すっげぇあいしてる。」と、とても優しい笑顔で抱きしめ返してくれた。



「おなかすいたねー!」
「飯、行くか。」

フッと笑いあたしの手を握って立ち上がった。もちろん隊舎から出ると同時に手を放す。
隣に入れるだけで、十分幸せ。



食堂に行くと、珍しくイヅルと桃が2人で昼食を取っていた。
もともと2人には後から声をかけるつもりだったからラッキー!

2人が一緒に居るのを見るのは学生時代に戻ったみたいで嬉しくなって、恋次と隣の席に行こうとしたが、驚かそうと思って霊圧を消し、桃に後ろから抱きついた。

「ひゃあ!・・・ちゃん!阿散井君!」

すごく驚いてたけど、あたし達の顔を見て嬉しそうに笑った。

「阿散井君とさんも今から?」

桃もイヅルももうすぐで食べ終わりそうだった。
くそ、イチャついてる場合じゃなかった!

あたし達もあわてて昼食を取ってきて桃とイヅルの前を陣取って食べ始めた。

「そうだお前ら、後で時間あるか?」
「時間?」
「あるっちゃあるけど・・・どうしたの?」

恋次に対してイヅルと桃は不思議そうな顔をした。
「ちょっとした報告ってやつだ。」

恋次がそういうがあたしがなんのことかわかってなかったけど、彼があたしのほうを見て
「そろそろこいつらには教えてやってもいいんじゃねぇか?来月のこと。」

あたしは嬉しくなって「そうだね!」と笑顔で返した。
同期のおふたりさんには理解が出来無いみたいで首をかしげていた。


まだまだ休憩が終わるまで時間があったので2人を恋次の部屋まで呼ぶことしにた。


とりあえずお茶とお菓子を出して、イヅルと桃の前にあたしと恋次がすわり、お互い顔をあわせながらちょっともじもじとする。柄にもなくちょっと恋次の顔も赤い。

「えっと、さ」
「あのー、俺達、」

なかなか言おうとしないあたしに桃は痺れを切らして
「もお!早く言ってよ!」とちょっと怒る。

「ごめんごめん!実はさ、」ココまで言って恋次の顔を見て、゛そっちが言ってって"とアイコンタクトを取る。
恋次は、優しく微笑んでから二人の方を見る。手はぎゅっと繋がれたままだ。

「俺達、来月結婚するんだ。」

笑顔でそういうと、2人は固まった。
次の瞬間2人は思い切り目を見開いて
「「本当にぃぃぃ!?」」
桃はあたし、イヅルは恋次の肩をガクガクと揺らした。

「ちょ、桃、落ち着いて・・・!」
「吉良やめろ、っ!ちょ俺ギブ・・・。」
「は、なし、て!あたしもギブ・・・。」

「あああ!ごめんちゃん!しっかりして!」

丸々一分は揺らされたせいでふらふらする。長い一分間だ!でも、そのあと桃にぎゅうっと抱きしめられて、おめでとう!と心から祝福してもらった。


「本当ビックリしたよ!隊長たちには言わないの?」と、イヅルもようやく冷静になったのか聞いていた。
そういえば忘れていた。
日番谷隊長と朽木隊長。日番谷隊長はともかく朽木隊長に言うとかなんだか怖いなあ。

「この後言いに行くつもりだよ、ね?いいでしょ?恋次。」
「あぁ、俺もそのつもりだ。」


「そっか・・・!もう付き合って40年も経つんだもんね!すごいね!ちゃん、幸せになってね!」
そういって桃はあたしの両手をぎゅっと握った。こんなに喜んでくれるなんて、あたしは幸せ者だ!

「あたりめーだ、俺と一緒になるんだぜ?俺がこんなに幸せなのにコイツが不幸なはずねぇよ。」
へへん!と笑って横からあたしの腰に腕を回し、もたれかかってきた。

「すごい自信!うらやましいよ、本当。おめでとう。」
イヅルも明るくそういってくれた。

幸せ者なんてものじゃない。超幸せ者なんだ!


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