2ヶ月ほど前から、吐血が止まらなくなった。
食べ物がのどを通らなくなり、やせていき、衰弱するのが目に見えて解った。
「さん、らいじょうぶれすか?」
「様、薬をどうぞ。」
心配そうに覗き込むのは、大事な部下の城島犬。
そして、薬を持って来てくれたのも大事な部下の柿本千種。
私には骸という可愛い弟が居ます。
この4人は、きっても切れない関係です。。
「ありがと、けん、ちくさ。」
死神輪廻
私達はマフィアを憎んでいるマフィアだ。
エストラーネオファミリーというファミリーで、人体実験にかけられたもはや人間ではないような人間。
骸には六道輪廻の能力が与えられました。
しかし私の場合は七道輪廻という、骸よりも一つスキルが多いのです。
名前は冥界道。
その冥界道、という場所は骸よりも私が先に死んだ場合に骸が死ぬのを待つための世界だ。
皆が言う天国、のような場所だと思う。何故知ってるかって?精神の世界に出てきたことがあるからよ。
だけど、直接は行ったことが無い。今まで同じタイミングをはかって死んでいたので行ったことも無い。
発動の仕様も無いのだ。もちろん目に七という文字も無い。
もちろん犬や千種も忌々しいファミリーの被害者だ。
だから、私達はズットマフィアを憎み、マフィアの頂点に立つボンゴレファミリーというファミリーの10代目沢田綱吉の体を乗っ取り、マフィアを殲滅し、最終的には世界を血の海に変えようとしていたのも覚えている。
だけど、まあ見事沢田に負けてしまった!奴には敵わない。
しかも私たち復讐者に連れて行かれ、脱獄も失敗でとにかく犬と千種を逃がし、私と骸は特殊な装置をつけられ軽くホルマリン漬け。
私と骸は双子です。
精神の世界でいつも繋がっている。互いは互いを支配し、体を貸すことが出来る。
だけどお互い水中なんじゃあ体を貸すことも出来なかった。
そしてボンゴレの門外顧問に霧の守護者をしろといわれた骸が私をココからだし、犬と千種を保護することを条件に引き受けてしまった。
リング戦の時は骸は霧、私は霞のリングを。
骸はこっちにでてこれなかったので新しい仲間、クロームを迎え入れたのだ。
私復讐者から出たとき、犬が鼻水たらしながら泣き、私から離れなかった。
「さみしかったんれす〜!!!」と。
大丈夫、犬、もう、泣かせませんよ。
リング争奪戦が終わり、それから6年後。
私はいつの間にかボンゴレの幹部になっていた。
マフィアは確かに殺したくなるほど憎いけれど、不思議とボンゴレは対象外だった。
ヴァリアーの謹慎もとっくの昔にとけ、ザンザスもなんとか改心しボンゴレ10代目沢田ファミリーと和解し協力し合って生きていくことが決まり、ボンゴレの景気も上がってきた。
そんな矢先のことだった。
その日は、白蘭率いるミルフィオーレファミリーによって前からたびたび行われていたボンゴレ狩りが本格化してきたことに焦りを感じ、昼から緊急会議を開くため10代目守護者、ビアンキ、フゥ太。群れるのが嫌いな恭弥の代わりに草壁などが集められた。
骸はただいまわけあって出れないので骸の代わりに私が行くことにした。
犬と千種とクロームはボンゴレ基地にて収集された私の付き人?
ココ最近体調不良に悩まされ黒曜ヘルシーランドから出れる状態じゃなかったので、二ヶ月くらい前に骸を見送って以来外には出てなかった。
訪問してくれてた10代目守護者には犬と千種を通じて「ミルフィオーレについて徹底的に調べるから部屋に篭る」と言い帰ってもらってた。
実際調べれたのは少しだけ。後は洗面台で血を吐くか、寝ているか。
骸が出て行った日を境に、どんどん悪くなっていった。
その間に行われた会議もすべて出席パスし、代理に千種に行かせ内容は全て聞いていた。
犬に行かせたらそれはもう全然内容を覚えてなく、沢田綱吉に電話し1から説明してもらった記憶がある。
でも今日の会議は、内容が内容だし事態は深刻化してるし・・・どうしてもパスできなさそうな雰囲気だったので参加することにした。
シャマルに作ってもらった薬を飲んだけど全くマシにならなくって、思い切って一週間分大量に流し込んでみても、やっとなんとなく少し体もマシになったかもしれない?位にしか効かなかった。
さすが特殊な体をしている。
少し早めに自宅・・・基、黒曜ヘルシーランドを出てボンゴレ基地へと移動した。
着いたときには会議が開始される30分前で、部屋の前に行くと中から気配が感じ取れないので誰も居ないようだ。
中に入り決められた席に座り、皆が来るのを待った。
机に突っ伏していると誰かが入ってくるのが解った。
「おや、お久しぶりですね。」
顔を上げるとそこにはランボが居た。どうやら隣の席のようだ。
「おはよ、」
「どうしたんです?元気がありませんね。とても顔色が悪い。」
不思議そうな顔をし、私の額に手を当てるも熱はなかったようで、「おかしいですね、大丈夫ですか?」というので首を縦に振った。
原因とその行く末はもう私にはわかっている。
無理はしないでくださいよと言い手を放そうとした。
その手を掴んで、彼の目を見た。
「ランボ、もしかしたら、私は―――」
「あれっ?まだそろってない」
そこまで言いかけたところで、フゥ太が入ってきたのでランボの腕を放し、なんにもない、と小さく笑った。
少しランボは心配そうだったけど、おとなしく隣に座った。
「姉じゃん!久しぶり!」
「そだね、フゥ太。元気?」
「うん!元気だよ!・・・姉はなんだか痩せたね。」
そう言い私の手首を掴んで細さを確かめた。
「君もそう思いますか。」
横からランボも同意する。
「ミルフィオーレの情報集めるの必死でご飯食べてなくってさ。」
そういうと二人は納得した。
本当は嘘だ。食べても食べても吐いてしまう。それだけだ。
胃が潰れかけている。
そうしているうちに全員集まり会議が始まった。
入ってくる人全員が私の出席と顔色の悪さに驚いてるようだった。
会議はボスである沢田、頭の良い獄寺を筆頭に進められる。
だめだ、全然頭に入ってこない。
(こんなことなら千種を入れるべきでしたね。)
会議室に入って4時間が経ったころだった。
そろそろ薬がきれてきたらしく、痙攣が少し始まった。
くそ、あんなに飲んでもこんなけしかもたないの?
震える手を握り締めた。
この行き着く先はわかっている。
身体の死。
゛骸、私もう無理かも"
゛そうですか、もしものことがあってもちゃんと待っててくださいよ?"
゛解ってるわよ、あなたをおいていくことなんて出来やしないわ。"
゛クフフ・・・僕が死んだらすぐ迎えに行きますよ。"
精神の会話だ。
私達は離れていたって心は1つ。
この体のことを骸が知らないはずが無い。
あの子は何も動揺なんてしない。
なぜなら六道輪廻をずっと一緒に廻るから。
「おい!お前さっきからボーっとしてるけどちゃんときいてんのか!」
紙に一文字も書き留めていない、しかも話を1つも聞いていない私を見て獄寺が怒鳴った。
あの時は険悪な仲だったけど今はもう和解しているのに獄寺は何かと突っかかってくる。まあ、実力は認めてもらっているんだろうけど。
私は手元に用意していたミルフィオーレの基地の地図などを、獄寺に渡した。
それは、骸がミルフィオーレ基地内にあるコンピュータの情報を少しずつ漏れるようにしてあったため得ることができた物だ。
「それはミルフィオーレの基地。四角に区切られているのはたぶん何かの仕掛けだと思うの。きっと白蘭は何かを用意してる。絶対。
入江正一は何か隠してることも確かね。研究室にそれがあるわ。」
だから、皆、気をつけて行ってらっしゃい。
私がそういうと皆が何言ってんだ、という目でこっちを見た。
「いやいやいや、なんだよその自分は行かない、みたいな言い方」
「には今回敵拠点を探ってほしいと思ってるんだけど。」
山本と沢田は少し焦ったようにそういう。
「私は今回出ません。」
「てめぇ何言ってんだよ!この緊急時に!」
幻覚が使え、戦闘レベルもかなり上の私がボンゴレ緊急時にそんなこと言い出すとは、さすがのみんなも黙っていなかった。
「ちょっとしたことがありまして。」
みんなの表情が驚きに変わった。少し顔を伏せて申し訳なさそうに言う。
「どういう意味!?」
沢田が乗り出して聞いてくる。
「そのまんまだよ。ちょっと、いろいろあるの。」
私はそういって話すのを辞ると皆がまた獄寺の話が続いた。
ここで寿命でもうしにますなんて言ったらせっかくの会議が終わってしまう。
しかも私にはもう話す気力すら残っていなかったのだ。
薬が切れてからの衰弱は驚くほど早かった。
きっと、もうここで死んでしまう。
いきがあがっている。
本当に、大変な、最悪な、一生だった。
けど、最後には楽しい思い出がついてくる。
マフィアを憎んで沢田を乗っ取ろうとした。
同じ中学生であっても憎くて仕方がなかったのに。
結果、今同じ場所にいる。
まさかこの私がそれを心地よいと思っているなんて、ね。
フッと笑い机に突っ伏した。
私が死んだら犬泣くでしょうか?ごめんねちょっと寂しいよね。
そして、ありがとうございました、ボンゴレ。
「Arrivederci」
日本語でまたあいましょう。ほんの小さくつぶやいて目を瞑った。
死ぬことに対して恐怖などは無い。なぜなら骸だけじゃなく、皆とも一生の別れじゃないもの!
人間道での私が終わっただけだ。
精神はちゃんと有る。早ければ一週間で輪廻を廻ってまたこの世に生を授かることが出来る。
名前は違えど見た目と精神はこのまま、で。もちろん骸とは双子だ。
゛私の可愛いクローム、"
゛・・様?"
゛私の体死んじゃいました。少し体を借りますね。"
゛・・・はい"
こうやって憑依さえすれば死んでも死んで無いのと全く一緒。
ただ、魂自体は数時間で次の道へ飛ぶんだけど。それでも精神はクローム、骸と繋がってるために憑依さえ許してくれれば会えるのに。
自分の体から出て行った瞬間、もちろん25年間使っていたこの体は息絶えた。
クロームに憑依して目を開けると、犬がそわそわしていて、千種も時間を気にしているようだった。
まずは、犬と千種に体が死んでしまったことを説明をしようとした瞬間。
2人は何かに勘付いたようだ。きっと私の死を体で感じたのか――。
いや、ちょっとまってください、体は死んでも私はココに居る!
まずは私の話を・・・と思い「犬、千種。」と呼ぶが、彼らはよほど必死だったのか私が憑依したことに気づかず。
「うるへぇ!」と妙に焦った顔で出て行ってしまった。
コラコラ。いつもそんな扱いをしていたのですか。
ゆっくりと追いかけた。
「さん?」
机に突っ伏したを横に居たランボは何かを感じ取って肩をゆする。
少し嫌な予感がするのは何故だろう。
をはさみ、ランボの反対側に居たフゥ太がそれに気づき「どうかしたの?」と声をかけようとしたが、ランボが異常なくらい焦りを見せてることに驚き、言葉も詰まった。
でも良く考えればこんな大事な会議で寝ているのはまずいと思って焦っているのだろうとフゥ太は考え、気にしないことにした。
―――が、
「さんっ!」
ランボが少し大きめの声を出したので、皆がそっちを向いた。
「ちょっと、こんなときに寝ないでよ・・・」
綱吉が苦笑する。
「僕も起こしてるんですけど・・・」
ランボも冷や汗を流しそういう。
「はっ!らしいぜ。」
獄寺が少しいやみっぽく言う。
はあ、とため息をつき綱吉が呆れながら近寄って突っ伏してるの体を起こし、その拍子に上を向いた顔に、そしてテーブルからクテン、と落ちた腕に言葉を失った。
その首は据わっておらず顔は青白く、息ももうしているようには思えなかった。
「ご、獄寺君!シャマル!シャマル呼んで!大至急だ!」
「わ、わわかりました10代目!」
とりあえずを床に寝かせ、異常な光景に皆が一気に集まる。
「ちょ、!しっかりしなさいよ!」
ビアンキが頬を叩いて呼ぶ。其の目には涙が浮かぶ。
「シャマル、どうなんだよ!」
「お願いだから助けてくれ!」
あわててやってきたシャマルは皆の泣きそうな顔、必死な顔を見てビックリしたがそれよりもの顔色などを見て息が止まりそうだった。
あんなに強かったが、こんな姿に。
そして瞳孔、脈を診て静かに横に首を振ったのだ。
「さん!」
「様!」
ちょうど犬と千種が会議室についてあわてて近寄る。それ私はクロームの体で後ろから眺める。
私 、いやクロームに気づいたビアンキが私を抱きしめて静かに泣いた。
千種は静かに泣きながらを抱きしめ、沢田綱吉と犬は鼻水をたらしておもいっきり号泣し、そのほかの皆からも笑顔が消えた。
私って、結構愛されてたんですね。
私ここにいるんですけどね。
でも、この雰囲気を壊すのも気が引けたので、死んだことにしてクロームを演じた。
意外だったのは沢田綱吉だ。
超直感を持ちながらもクロームに憑依した私を見破れないなんて。
そこまで、ソレに気づかないくらい泣いてくれたことに、胸が痛んだ。
犬、千種、あなたたちをもう泣かせないって決めていたのに。
゛それでは骸、冥界道にて待っていますね。"
゛わかりました、それでは。"
私死は、魂の死じゃなくただの体の死だから、別にどこの輪廻に居てもクロームに憑依さえすればあえるってこと・・・。私じゃなくクロームか骸から言ってもらおうかな・・・。
≒Next≒