さぁ、二学期も中ごろ。
そろそろ時期的には文化祭。
(できればそんな面倒なことは辞めてほしい)
そう思った。
あ、そう言えば孝太郎達あれからどうなったんだろう??
厄介なこと、面倒だ。できるだけ個人で解決してくれると嬉しい。
「!!!おはよ――!!!」
「――――!!!」
朝から一人であくびしながら歩いてると、いきなり大声で呼ばれたので、こけそうになった。
結構毎日のことなのだけど、慣れない。
うざい、うるさい、そして何より恥ずかしい。
ほら、前に歩いてるC組の女連中がくすくす笑ってる。
あ、C組のギャル軍団がこっち見てなんか言ってる。
ギャル軍団と言っても・・なりきれていないんだけど。すごく子供に思える。
なんなのよ、確かにあたしはこんな性格だし、目つきも悪いから他のクラスの女子とは仲が悪かったりする。
揉めたこともあったっけ。そのときは軽く流したけど・・ナイス判断。
今でもたまに突っかかってくるときある!!ウザイ!
一つため息ついて後ろ振り向くと、ほら。坂道転びそうになってる伸太郎と量太。
先よりも深いため息が出た。
でも、結構それが楽しくて、二人があたしのところまで来るのを待ってあげる。
「おはよーって・・朝からうるさいよ、元気なのは良いけど・・」
苦笑しながら進行方向を向きなおした。
オチャラケ二人組はその後すぐにヤヨを見つけて去った。
(・・・・何がしたいんだろう??)
今日も、いつも通り来てるメールを返す。
朝、坂本先生が教室に入ってきてHRだ。文化祭で何するか決める、と。
A組はコーラス、C組はタップダンス。
すごく中学生らしくて馬鹿馬鹿しかった。なんて冷めてるんだろう、あたしは。
高校生と何時も一緒に居るあたしは、高校生と同じ位高校生らしい。
その高校生が隼人たちで。高校生よりも強かったり。
しかも悪い意味で落ち着いてるため、行事はあまり楽しめない。
もし、隼人達が居たらどうなってたんだろう?
隼人達がコーラスにタップダンス・・。
まってまって!無理だから!!想像するだけで可笑しい。
って、いつのまにか文化祭はソーラン節に決まっていた。
(ま、いっか。)
もちろん、皆練習する気もない・・・。
一度やってみたが、皆曲に合わせて好き放題踊っているのだ。
(あるいみすごい団結力。)
ま、とりあえずこんなあたし達を見て英語の小田切先生とシルビア先生がなんか言ってたな。
小田切、か。竜と全然違うな。
とりあえずどうでも良かったあたしは隠れて携帯を弄った。
竜から「昨日の連中どうだった?」とメールが来てたのを思い出したのだ。
ちらっと例の二人を見ると至って普通だった。
それ報告だ。
シンナーとかぶっちゃけ勝手にやっとけ、しか思わないけど・・・。
クラス全体に迷惑はかけないでほしい。隼人達よりも性質が悪いな。
ま、どうでもいいや!と自己完結して携帯を机の中にしまって寝た。
HRの時間だって、何度か先生とかいろいろ周りに起こされたが
結果的に何度起こされようが寝てしまう。
結果的に、誰よりも睡眠時間が多いのかもしれない!
結局、この日も寝てすごした。
すこし先生の間でもあたしの授業睡眠は問題なりつつあるらしい・・。
「あーつかれた!」
伸びしてあくびしながらそう言うと周りから「お前は寝てるだけだろう!」と突っ込まれたが。
「寝てるくせに頭良いのが腹立つんだよなぁー!」
帰る用意をしながら伸太郎が言ってそれに回りもまた同意する。
「兄貴は頭悪いんだよ―。ほら、頭悪そうじゃん」
あたしもそろそろ帰る用意しながら言うと、兄貴はどこの高校行ってた?という話になった。
あたしはとっさに覚えてない!といってしまった。まさか白金、なんて死んでも言えない。
いや、死ぬくらいだったら言うけど、出来るだけ言いたくないな。
「ま、いいじゃん。帰ろうよ」
いつものように3B’sや伸太郎たちと帰ろうとしたときだ。
今朝あたしのことを笑ったC組のギャル軍団とちょうど鉢合わせになった、
特に気にせず浩美と並んで集団で教室を出た。
「和田さんっていっつも男連れてるよね―。」
「っていうか、不良気取りらしいよ!」
「えーまじで!?あれで不良のつもりなの?!ありえなーい!」
「きもいー!無理無理!!」
「シー!聞こえるってば!」
後ろからそんな声が聞こえて。
いっしょに居た伸太郎たちがすぐに反応を示した。
「おい、なんだてめぇら?」
と怪しい雲行きになってきて、慌てて伸太郎を止めた。
「言いたいやつには言わせておけば良いんだって!男友達居ないからって僻むなって!
The☆哀れ!This☆哀れ! That☆哀れ!We love 哀れ−! 」
The・・から段々テンションを上げて、We love哀れ-のところはもう片手上げて
みんなを盛り上げるようにジャンプしながら言ってみた。
とりあえず、伸太郎たちに落ち着かせるように言うと直明やソンが噴出した。
こう言うときの自分はすごいと思う。
「それに、あたしは不良気取りじゃないの、れっきとした不良なの!ヤンキーなんだってば!」
自信満々に言ってやると直明たちはさらに爆笑した。
そうだ、あたしは不良なのだ。
世間で俗に言う、不良。隼人や慎たちが不良と呼ばれてる限り・・あたしも不良なのだ。
不良という意識は無いが、世間がそう言うのだ。
中学生が茶色の髪の毛に紫のエクステ。それだけで世間は不良というのだ。
「じゃあね、C組の陰キャラちゃ−ん☆」
自分自信がギャルと思い込んでいる彼女達には今の言葉はとても腹立たしいだろう。
あたしの性格は生憎悪くって。嫌味ばっかりだ。
とりあえず、さっきの言葉にとびっきりの100万ドルの笑顔をつけて
右手を上げてバイバイを意味するように指を何かの口にたとえる感じで動かした。
「かっ・・彼氏に言いつけてやるんだから!」
「ひーどーいー!わざわざ自分の彼氏をあたしに病院に送られるとこを見たいなんて、ひーどーイーっ!
・・ま、どうぞご勝手に!登校下校、待ち伏せしてくれて結構結構コケコッコー!」
超ブリッこで言ってみた。それがもう似合わない似合わない。
皆、必死で笑いをこらえてるみたいだ。真佐人のちょんまげがゆれている。
とりあえず
「この桜中の熊井女王に勝負を挑もうなんて、馬鹿なこと考えないであそばせ!
では、さらばっ!」
□□□
河原を皆出歩いてると
「・・お前本当最高!」
「本当!C組の女超すげぇ顔してた!」
「ってか、なんか言ってることがすげぇうけるんだけど・・!!」
と、それぞれに笑ってた。そんな中伸太郎はまじめな顔で
「あいつらの言ってること・・気にすんなよ」
そういわれたが。
「っつーか、ぜんぜん気にしてないよ。言い合いは結構好きなの。
面倒くさいけどストレス発散になるって言うか。
勝ち戦は楽しめるって言うか・・。」
得意げな顔をして笑うと、それでこそだ!なんて誉められた。
そりゃあ、中学生相手なんか、ぜんぜん怖くないね。
ま、しばらくして別れ道がきたのでバイバイした。
家に帰るのもつまらないし、そのままある人の家に行くことにした。
きっと今日は家に居るであろう、あの人の家に。
自分の家の前の道を通りすぎて、少し歩いたところにその人のマンションがある。
何階だっけ?6階だっけ。
「沢田」と書かれたネームプレート。
部屋の中からは、いろんな人の声が聞こえる。人見知りの慎だから、メンバーはきっと・・。
早速インターホンを押してみた。
中から出てきたのは慎一人ではなくて、べろべろに酔っ払った野田ちゃんもいっしょだった。
「お!ジャン!入れ入れ!」
そう言われて酒くさい野田ちゃんに肩を抱かれて。慎を目で見たが同意だったので安心してあがった。
部屋に上がると、また懐かしい。うっちーが、「よっ」と右手を上げた。
テーブルの上には空き缶が数本転がってた。ほとんど野田ちゃんが飲んだと思われる。
「で、。どうした?」
いきなりきたので、少し驚いてるんだろう、慎がそう言った。
「・・・いや、暇過ぎて暇過ぎて、暇死寸前だった。」
はぁ、とため息をつくと野田ちゃんは、
「ため息ついてないで、ほら!飲め!」
とチューハイをあたしに差し出してきて。あたしも兄貴と課と混じってよく飲んでたために素直に受け取る。
「おい野田・・クマに怒られっぞ!」
うっちーがいうけど、「いいのよいいのよ!」と野田チャンが言う。
あたしも個人的に別に良いからすんなり口に入れて飲み込んだ。
そのとき、ハッと思い出して、先日のシンナー事件のことを言った。
「だから、ここらへんでシンナーもってそうな不良少年みつけたらシメてあげてね!」
「あぁ、見つけたらポリにでも突き出してやるよ」
「最近の中学生は若いなぁ!シンナーって。俺らでもそこまでは、なぁ。」
「タバコ止まりだよなぁ、」
「なに年寄りじみたこと言ってンの!若年寄!」
うっちーと野田ちゃんにそういうと慎が笑った。
「あ、もうこんな時間か。そろそろ帰るわ。」
「あ、まじ?送っていこうか?」
うっち-が野田を抱えて言うけどきっと3人とも久々の再開っぽかったから断った。
時間は夜の8時。
そろそろ帰らないと母さんや兄貴がうるさい。
「またラーメン食べに来てね!兄貴も会いたがってるし!」
そういって家を出てゆっくりと家へ戻ってる。
いつも通る道を通ってると前方からこっち向かって歩いてくる不良集団発見。
不良といっても、ただのなりきり程度にしか感じられないけど。
あーゆーのでも、隼人や慎達を目の前にしてみるとペコペコするんだろうけど・・。
・・あたしは直感でこいつらが孝太郎や和晃にマリファナやシンナーを与えてるやつだと確信した。
なので、わざとぶつかってみた。
「ってぇな!!」
「前見て歩けや!」
あっという間に囲まれてしまった。不良という雰囲気にしてはまだまだ幼くって。
それでも自分は不良だと思ってるこいつらがやけにばかばかしかった。
というか、女を囲むってどう言うことだろう。
「前見てないのはどーっちだ?」
頭っぽい人に言ってみた。もちろん、あたしからぶつかったんだけど・・。
いちおう、ね!挑発の意味で。
「誰かにぶつかると思うのいやなら何歳か知らないんだけど
頭は幼稚なんだから幼稚園児らしく一列になったら?」
あたしがそう言うと、てめぇ!ふざけんな!と肩を押された。
雰囲気が悪くなったところで向こうの一人が声を上げる、
「おい、こいつら孝太郎と同中だぜ。」
「お、まじで!?じゃあこいつにも売ってやったら良いんじゃねぇ!?」
と向こうのテンションが上がってきた。
同中だぜ、ってここらへんは桜中の学区って事、知らないのかしら。
「ちょっとこいよ!」
考えてると、いきなり向こうのグループの連中に両腕をつかまれた。
こんな道のど真ん中でモメるのもなんだし大人しくついて行った。
ついて行った先には、人気の無い普通の道。
ここで何かされるのかな。放課後のことでストレス溜まってるしちょうど良いかも!
特に動揺も緊張も無かった。そのあと、名前を聞かれるが答えなかった。
本当は、夢見る夢子ちゃんとか、名無しのごんべいとか言ってやろうと思ったけど
変に挑発して変になったらいやだし。
「ってか、あんたら孝太郎たちに何売ってくれてんの?」
「なにって・・シンナーとか麻薬。え?何。てめぇも欲しいってか?高ぇぞ」
あたしの目の前でちらつかせた。
あたしはそのちらつかせてた腕をつかんで捻ってやった。
イテテテ!!と本当に痛そうだったので離してやる。
「うちのクラスメイトに変なもん売るのやめてくれない?」
ニヤっと笑いそう言うと向こうはキレてしまった。
てめぇ!ふざけんな!と迫力の無い声でこっちにかかってくる。5人くらい。
だけど、あっという間に地にひれ伏させた。
動かなくなったそいつらからすべて奪ったシンナーと麻薬とか全部をどこかのごみ箱に捨てておいた。
麻薬なんて、身近に無いんだから対処法なんて分からない。
適当にごみ箱に捨てておけば、何とかなるでしょうという、わけのわからない答え。
携帯を見ると、時間は9時を回っていた。
やべっ!兄貴に怒られる!
そう思ってダッシュで帰った。
|