前からうすうすは気づいてた。それでも一生懸命知らない振りしてた。諦めかけてたけれど、それでもそれは間違いだって1%でも信じてて。前向きに考えて考えて、いつも笑えるようにしてたんだ。


だってどうしようもないくらい、ずっとずっと、だいすきだった、


―――のに。

「カオちゃんはハルちゃんのことが好きなの・・・?」

常陸院家に皆で遊びに来たときにハニー先輩が馨に言ってるの偶然聞いてしまって、心臓がぐわって口から飛びそうになって、まわりがなんだか滲みかけてきてもう時間なんて止まってしまえばいいのに、全部全部終わってしまえばいいのに、とさえも思った。

それくらいあたしは馨が好きですきで、だいすきだった、んだ。

その続き、聞きたいけど本当は聞きたくない、なんて場面にでくわしたんだろう?どうして今日あたしはここに居るんだろう、やめとけばよかった。
人がどうあがいてみたって答えがでてしまえばもうあがく意味すらない。


「・・・うん、ずいぶん前から自覚してたよ。でも絶対うまく隠しとおせると思ってた。」


あーあ、ほんとにどうしたらいいのかなあ、と遠い目をして泣きそうになってる馨を見てあたしはハルヒがすごくすごく羨ましくって逆にちょっとなんだかイケない感情まで湧き出てきて、あぁ、やめなきゃ!

ホスト部の皆も好き、と言ってるけど、その中にあたしも入ってるの?でもそっちの“好き”ならあたしはいらない、苦しい、いらない。

馨を見つめていると、ふいに目が合ってしまった。し、しまった、どうしようとか思ってリアクションが取れなくなってると悲しげに笑われた。
あぁ、馨にこんな表情させるハルヒが、
馨にこんなに思われてるハルヒが、

許せない、そして羨ましい。


「馨、何かあれば聞いてあげるから、そんなに溜め込まないでね、」


精一杯の笑顔でそういうしかなかった。


「ありがとな」

そういって髪をくしゃってされた。返って来たありがとう、はなんだか、なんだか嬉しくなかった。

きっと馨に気持ちが届かなく、報われないと知っていて苦しみ、それでも好きになるのをやめようとしないあたしのようにハルヒに気持ちが届かない馨もあたしのように苦しいのかな。


あたしだってずいぶん前から自覚してたよ。このままあたしが馨を想い続けてたって無理だってこと。

だけど、

だけどね諦める勇気すらあたしにはなかったんだ、