(1日勉強16時間・・・それ、無理!!) これから10日間の合宿があるってことは、10日間ずっと16時間勉強するの?!大変過ぎるよ!あたし、普通の高校生じゃないんだって、ちゃっかり忘れてた。今日、仕事あるの忘れてたよ。 今日の深夜、ヤクザグループがなんか麻薬の取り引きとか、密会をしているらしい。そこであたしは組代表としてそこに乗りこんで捕まえないといけない。 何年か前までは、組長である親父や、その部下がやってだけど、一応あたしが後継ぎだから。できるだけこーゆ―のに関わることにしてる。今では一人前にヤクザとして風格が出てきたのか、仕事に慣れたのか、もう完璧にあたしは仕事をこなすようになった。 今日もあたしの舎弟3人を連れて行かなくちゃならない。向こうは結構人数多いらしいけど、組は決して弱い組織じゃなく、100人くらい居ても4人居れば十分片付くのだ。 名前だけの組織でもなく、きちんと全員厳しく鍛え上げられている。より忠誠な組員同士の子供ならばその子もまたヤクザになる確率が高く、小さいときからみっちり鍛え上げ、ものすごく強く育つのだ。 色々考えていると、こっちはこっちでことは進んでおり、「やるならさっさとはじめようぜ」と矢島はそう言って先々行ってしまった. 教室に行くと、席を決めた。 前列3人真ん中二人に後列1人。あたしは一人が好きなので、自ら後ろに座った。 早速桜木は授業を進めた。 「午前中のこの時間帯は・・数学をやる」と前に貼ってある計画表の紙に指を差しながら言った桜木に皆嫌そうな声を出した。何よ、このハードスケジュールは。 合宿一発目の数学。授業内容はいきなりテストだ。 開始と共に裏から表にめくったテストの数字を見て軽く桜木を睨んだ。 その睨みの意味は、やるテスト間違ってない?という意味。 何年前かに習った記憶があるんだけど。桜木が何も言わないところから、これをやることには間違いがないんだな、と思っておく。 テストが終って採点が終わりテスト返却。 「緒方ー70 矢島ー72 香坂ー75 小林78ー。おっは100点。」 「俺達結構優秀?」 「バーカ。こりゃぜんぶ小5の分数だ。 おまえら小学校高学年で算数について行けなくなった奴の典型だな.」 「70もとってんのに?!」 「ばーか」 「おい、ひとのことバカバカって言ってんじゃねぇよ、 俺らが勉強できねぇことくらい、最初から知ってんだろ」 「ばーか。俺がばかばかいってんのはなぁ、 お前等が70点くらいで良い点数取ったと言ってるからだ。」 暫くまた語り出してた。 今のあたしにはレベルが低すぎて頭に入ってこなくて、ごめんなさい。 「全員起立!数学とは、ある意味スポーツ!例えば卓球!」 そこから、なんか分数の特訓が始まった. しかも卓球の格好で。 しかも、分数とかだいぶ簡単なんだけど・・。 何分か経つと、皆分数をすらすら言えるようになっていた. これにはあたしもビックリだ. 皆結構やる気あるみたいで。あたしも楽しいよ。・・・この先の仕事のことを考えなければね。 数時間がたって自習やらなんちゃらやってると、井野が教室にはいってきて、英単語100問テスト、とかやり始めたけどあきれるほど簡単でした。 にしても、今日の任務・・どうしよう。どうせあいつら取引始めるのって、夜中だろうなァ。夜・・なんとか抜け出すしかないね。ここで任務ほったらかすって言うの、絶対できないし。やっぱり抜け出すしか手段はないよね。 □□□ 夜になって、直美が特進クラスに入ってきた.あんなに嫌がってた直美が特進クラスに入ったことにはビックリしたけど嬉しかった。だって、唯一心を許せる昔からの友達の直美が来てくれるんだし、やる気も今まで以上にわいてくるじゃない! 桜木はなんだか勝負するとか言ってるけど、誰と誰がだっけ。直美が入ってきたことが嬉しくって話し聞いてなかったや。でもあれだけ嫌がってきた直美が入ってきたことは裏で何かあるんだろう。今回の勝負とも関わってそうだな。 人の家庭事情はわからない。けど、直美のタメに、頑張ろうかな?数学100点取ればいいらしいけどさ、大丈夫かなあ、うん大丈夫。少なくともあたしは、ね。 「馬鹿とブス同士仲良くな!」と桜木が笑いながら言い、少し皆むすっとした表情になった。そりゃそうだ。馬鹿は自覚してるもののブス、とまではいかない人も居るじゃない。 とりあえず、直美が机と椅子を下ろして、あたしの隣に来た。あたしは嬉しくて、直美に視線を向けると、目が合ったので笑顔でピースしたら、仕返してくれた。 暫くして小学校用の算数ドリルが配られた。一枚ページをめくってみると何て簡単な数字が並んでるんだろう??本当にやるのかなあ、これ。 勝負のテストに出てくるのはきっとこんな小学生の算数とかじゃなくて高校の数学だと思うんだけど、本当に大丈夫なのかな?合宿の意味ある? 「ちょっとまってよ!勝負は高校の数学でしょ!?」と、あたしがまさに思っていたことを誰かが叫んだんだけど、桜木は「算数の基礎も無い奴に高校の数学なんかとけるか!」と返した。…なるほどね、そういえばそうでした。たんぼの田とか覚え始めた小学生にいきなり「孔子」の漢文読ませるようなものか? 「だって、勝負までに5日しかないんだよ!」 「5日しかないじゃない、あと5日 も! あるだ。 受験も同じだ。たった1年しかないじゃない、まだ1年もあるだ。」 沈黙したあたし達にまた桜木は分数の問題を1問出した後皆は静かに座ってドリルをやり始めた。皆卓球の格好が身に染み付いてるのか立ち上がって卓球の格好で答えてたのがウケた。 FRIEND |