あれからは何事もなく、無事に合宿も終わって、それぞれ帰宅した。
皆と別れるとき、柳たちに連絡先を教えろといわれて教えていうると、他のメンバー達にも集られた。

もう一度あたしの携帯にかつての仲間の名前が1名だけ足りないけどちゃんと増えた。
それだけでとても嬉しいのである。

それだけであたしはもう十分だ。
あたしに元気付けようとしてくれた仲間がこんなにもいた。

日本は帰国していきなり辛かったけど、これからも当分辛いと思うけど・・・そのたびにこの仲間が元気付けてくれる。

幸村君のことも、昨日のこの合宿中に知れてよかった。
一人のときならあたしは立ち直ってなかったかもしれない。

ちなみにこうやってみんなが昨日今日と全員集まれたのは、跡部君の力らしい。
すごいね、さすがというか。


帰りの電車の中、途中まで仁王君と一緒だった。
ちなみに彼はまだ結婚してないらしい。
なあんだ、できちゃった結婚してそうってずっと思ってたというと小突かれてしまう。

合宿中ではあまり話せなかったからゆっくり話せてテンションがあがる。
もしかしたらあたしを心配して同じ方向に帰ってくれたのかもしれないが、どちらにせよテンションがあがる。

「辛かったのう、ようがんばった、は本当偉い偉い。」と、やみで全部知ってたらしく頭を撫でてくれたが、少し照れくさかった。

乗り換えの駅はさすがに違うみたいで、また遊ぼうね!なんていって別れた。



駅からマンションまでは徒歩5分だ。
途中に少し大きめの川(結構有名だが名前がわからない)があり、夕暮れということもあってか気分を切なくさせた。



あたしはここでなんかまだ終わらないし終われない。
再来週からは仕事も始まるしまだまだこれからだ。
ここでは立ち止まらない。


彼があたしを過去にしたように、あたしだってこれから彼を過去にしていく。
できるかな、なんてちょっと不安だけど、きっと大丈夫。


いつになると完璧に諦めれるかなんてまだわからないけど、いつかまた笑い合って、そういえばあたし幸村君のこと好きだったね!懐かしいね、と笑いあえれば良い。
そのときにはあたしの隣にも別の人が居ることが理想。

友達としていつか戻れることを願おう。


まずはその第一歩。



首からかけていた、彼に中学のときにおそろいで買ってもらった143が刻まれたペアリングを外して、思い切り川に向かって投げた。

あたしの気持ちと一緒に、もう伝えることがないであろう、必要ないであろう143・・・つまり『I LOVE YOU』の気持ちと一緒に沈んでくれれば。
流れて消えて行ってくれれば良いな、なんてちょっとロマンチストにでもなった気分だった。


疲れたし、そろそろ家に帰ろうか。



あたしは再度荷物を持ち、川に背を向けゆっくりと歩き出した。




ここからまた、新しく始まっていく。







-完-




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