「まじで!?」

「おん、まじや。」



あたしの前にはちょい照れる蔵が居て、その前のあたし自身は多分真っ青。
どれくらい真っ青かゆうたらそれはもうわけわからんくらい。
でも実際顔には出やんタイプやから案外普通かもしれへん。


「い、いつから・・・?」
「実はな、結構前から・・・。」


いつからと聞いてみたけどなんで聞いてん!あほかあたしは!
自分の首絞めるだけやろが!30秒前のあたし死ね!

こんな形で蔵の照れた姿見た無いねん!アホか!


・・・今日、というよりもたった今、あたしは失恋した。
北海道3泊4日の2日目、修学旅行中にやで?マジで信じられへんねんけど。
修学旅行の思い出って素敵なものと思ってたけど、もうあかんわ、あたし。
明日スキー中雪だるま決定やな。それか股裂けるかどっちかや。

失恋とか言うてもな、振られたわけでもない。
あたしは蔵が好きで蔵に好きな子おったってまでの話し。
向こうは気づいてないねん、この気持ちを。



あたし達は小学生の頃から仲良くて中学も一緒やった。
ずっとクラスも一緒やったからなんやかんやで腐れ縁。
ほんまそうやと思ったわ。

けどやっぱ男女の仲良しこよし(友情)なんて、成立しいひんねんなって改めて思った。
友情と見せかけて、どちらかが好きやったり好意寄せたりしてそれを隠さなあかんねんってゆう。


ほんまいやなくらい痛感したかも知れんわ。
あたしと蔵の場合、あたしが蔵に惚れてしもたんやもん。

周りからは、ほんまお前等仲ええなあとか言われて嬉しかった。
せやろ!親友や!とかよおゆうてたけど。

本当は、あたしは好きやった。大好きやった。

親友だけの感情なんかで収まらんかった。
むしろ親友だけじゃいややってん、わがままやなあ。


いっつも一緒に居ったからもしかしたら両想いやったりして!とか勝手に勘違いした。
結構うちの気持ち知ってる友達もな、そうやってゆうてくれててん。あほやなあ、あたしは。
笑顔見せてくれて、喧嘩もするけど仲直りしてな、しんどいとき側居てくれたり。

だからあたしだけ特別のような気がして勝手に舞い上がってたんよ。
もしかしたら蔵も、あたしのこと好きなんちゃうかなって思ってしまってた。
恋してるときなんてそんなもんやろ、ちょっとのことで舞い上がるもんや。
そんでいつしか勝手に蔵があたしのこと好きって決め付けてしもてた。まじで恥ずいって、あたし脳みそ破裂しやがれや。

・・・まあな、勝手に両想いって思い込んでで、だからこそ「好きな人の話」をしたのだ。
ちょうどホテルで夕食を食べた後、ふらっと探検しに行ってたらそこで蔵と鉢合わせてな、今しかない!思ってホテルから抜け出して近くの公園に散歩に行ってそこで。
もしも良い雰囲気になればあたしは告ろうっておもったけど、残念ながらこんな結果やわ。

「なあ、蔵の好きな子って誰なん?あたしも教えるから教えてや!」

これゆう1秒前のあたしの口、接着剤で一生開かんようにしたりたい。


あたしも教えるっていうんは、蔵があたしのこと好きやという可哀相な思い込みのお陰やな。
脳内シナリオではな、俺、実はが好きやねん!→まじで?!あたしも好きやねん→ラブドッキュン☆のはずやったのに。

何回も言うけど脳みそ爆発してくれ、頼むわ。


「お前ほんま誰にも言うなよ?・・・まあやから言うけどな、俺な、4組のさんのこと好きやねんわ。」

こんなんゆわれるとか全く想像してなかってん。まさかのさんやで。顔も思い浮かんでこんし1%も頭に無かった。
これマンがやったらガビーンって効果音ついたと思う。


「で、の好きな人誰やねん。」


聞いてなかったけど好きになった仮定を話し終えたらしく、あたしに聞いてきた。
どうしたらええっちゅうねん、なんて答えたらええのー!

あたしの頭の中で出来上がってたシナリオでのこれに対する返事は
『あたし“も”蔵が好きやで。』

やったのに。

どうしたらいいもんか。こんなん告っても振られるって言うか関係崩れるんだけは勘弁。
テンパった結果、あたしから出てきた言葉は。




「あたしな、謙也がすきやねん。」




あっははは!あたし、終わったな。