「ああ!あんたなんてことするのよ!」
「いいだろ!玉子焼きの一つや二つ!」
「よくないの!それあたしが最後に食べようと思ってたんだから!」

いつも通り、本当にいつも通り、俺と、山本と、獄寺と、と、4人で昼ごはんを食べてた。
毎日、がリボーンに誘われボンゴレに入ったその日から一緒だった。

は本当に頼りになって、俺と京子ちゃんの仲を取り持ってくれて喧嘩とかはそんなに強くないけど、皆にも好かれる、本当にいい子だと思う。
きっと、京子ちゃんがいなければ俺はの事を好きになってるはずだ。

「うっせーよ!」
「山本、笑って見てないで何とか言ってよ!この馬鹿寺に!」
「あぁ!?馬鹿寺とは何だよ馬鹿!」
「あんたこそ何よ!」

そして、いつも通り、は山本に助けを求め、獄寺君ともう一度喧嘩をし始める。本当、毎日こんなくだらない喧嘩ばっかり。だけど、それが俺からすれば楽しく、ほほえましい光景に思えてくる。きっと山本だって今は違うにしろの事を好きだったに違いない。

「まあまあまあ!そんな熱くなんなってお二人さん!」

でたー!山本のこの独特の笑顔。いつもなら、そんな山本に「でもー!」「まあまあ!」とか、そんなやり取りで終わるのだ。
だけど、今日違ったのは、山本の一言。

「お前等毎日毎日本当仲良いよなあ!」

山本は、牛乳パックを片手に持ってのんきにあはは!と笑っている。

「「どこが!!」」

なっ!無自覚ううう!?そういうとこだよ、そういうとこ!山本ですら、気づいてるのに本人達が気づいてないって何だよ!


「クラスの奴も皆言ってんぞ!な!ツナ!」

ええええ!俺に振るのかよ!

「う、うん、お似合いだって、ね。京子ちゃんとか黒川とかもさっき言ってたよ。」

俺がそういうと二人は顔を真っ赤に染めて一瞬目を合わせ、テレを隠すような表情を無理やり作ってバッと違う方向を向いた。純粋だ。本当。


「・・・サーティーワンのアイスで許してあげる。」
「・・・そそ、それくらい、奢ってやらぁ!!」

そして、少しどもりながらがいい、獄寺君も返事する。あぁ、この人たち無自覚の両想いだあああ!!そして素直じゃない!早くくっついてしまえよ!
俺はいろいろな意味を込めてため息を吐いた。


そして、このあと、いつも通り5時間目が始まり、6時間目が始まる前に、たまたま俺はトイレに行った。




□□□



「あぁ、遅かったね。」

あたしは普段浴びない返り血で真っ赤に染まり、用事を終え、窓際に腰掛けてのんきに座ってるとやっと教室に戻ってきたツナに声をかけた。いつもなら、あたしの実力では返り血なんて一滴も浴びずに人なんて簡単に殺せちゃうのに。今日は、一応少なくとも過ごしてきて、そこら辺の人間、からうわべだけの仲間、友達にまでランクアップしたクラスメートたちだ。ただの他人ではないし、関わるのはこれで最後。最後くらい仮にでも仲良かった者として血くらい浴びてあげてもいいんじゃないかなあ?

意識の無い、2Aの連中達。いや、ただ意識が無いだけじゃなくて…ほぼ瀕死。これ、全部あたしがやった。ツナが・・・いや、標的、ボンゴレ10代目、沢田綱吉が教室から出て行き、戻ってくるまでの、この数分の間に。その中には山本に獄寺の姿も。

、これ全部おまえが…?」

真っ赤に染まる教室、立っているのはあたしとツナ。条項を理解したツナの体はガタガタと震えだした。そして、口を押さえてその場に吐いた。それでもあたしがやったとは理解できない、いや、したくないんだろうか。

「あたし以外に、誰がいるの?」

そう呟いて足元のあたしにとって元クラスメート・・・獄寺隼人を蹴飛ばした。大事だ、とか、仲間だ、とか好きだ、とかそういった感情を、この場すべてにいる奴等全員には最初から今まで持ち合わせてない。あたしに近づいて笑顔を見せるたびに、この日の楽しみが増えた。それしか考えれなかった。
「獄寺君!」と叫び、沢田綱吉は彼の元へ駆け寄っていく。残念だねボンゴレ!仲間達がこんなになって!まあ一般人と同じ攻撃をしたので、彼や山本にロンシャンは生きてるだろう。だが、重症だ。

「嘘、だろ?だって、さっきまでいつも通り俺たちと・・・一緒に、笑ってたじゃなんか!クラスメート、皆と仲良かったじゃんか!そうだ、獄寺君はどうなんの!?さっきまでめちゃめちゃ良い雰囲気で、前からクラスメートが見守るくらい仲良くって、両想いだって!さっき気づいたばっかりだよ?!」

「両想い?馬鹿にしないでよ!獄寺のことを恋愛対象で見た覚えなんてないよ。」
「うそだ!さっきまで、獄寺君のこと、凄いキラキラした目でみてたじゃんか!」
「どれもこれも笑顔も表情も、演技だってことに気づかなかった?ブラッド・オブ・ボンゴレの超直感さえも鈍らせるほどの演技力、どうよ?みごとはまったでしょう?」

だいたい愛だの恋だの、あたしがボンゴレの忠犬にするはずがない。あんな短気な犬、あたしは好かないね!恋愛に発展させたほうが付け入りやすいからその気にさせただけだよ。あの忠犬が一番やりやすかっただけ!ソレも気づけないなんて、おろかね!

「何だよ、ソレ・・・なんでこんなこと・・・皆、しっかりしろよ!」
「あぁ、無駄無駄!ボンゴレとトマゾ以外は、もう死んでる。なんでこんなことって?あんたのデータ収集のためかなあ?2年もかけた甲斐あるよ!大量にデータ収集できた!これで十分すぎるくらい!年誤魔化してたけど雲雀恭弥をだますのも簡単だったしね。」

あたしは笑いながらナイフの先をなめる。本当は15歳なのにやっぱり1歳くらいなら雲雀恭弥も見抜けないっていうやつかなあ?

「データ収集・・・?なんのためにだよ!」
「愛するあの人のために、とでも言えばいいの?」
「っんだよそれ!」

あら、沢田が本気で怒ってる。ちょっとおもしろいね。

「あたし、マフィアが憎いの。だから、こうやって2A連中を殺害、なんて命令とかされてないんだけど最後にマフィアを苦しめてあげようと思って。暇つぶしともいうのかなあ?」

「っ!」



「じゃあ、そろそろ時間だし。あんたたちボンゴレのデータはすべて持ち帰らせてもらうから。」



そういってあたしは教室から飛び降りた。おい!待てよ!というツナの声が聞こえたけれど、そんなの無視に決まってる。
いつものように、皆で屋上に集まって昼ごはんを食べて、あたしが獄寺ともめるところにいつものように山本が止めに入る。
そんな毎日毎日同じことの繰り返しでよく人生飽きないね。


そんなあなた   







    非日常


(本当に気づかなかった?)(自分のおろかさを憎めばいい。)