「沢田・・・綱吉。」

久しぶりに会ったと思ったら思い切り指をさして思い切り吃驚された。
思っても居なかった展開に私はため息を付くしかなかった。

「なんでがここにいんのー!?ってかその眼帯なにー!」

相変わらずのツッコミを40年ぶりに聞けて嬉しいと思いますが・・・。


「何故あなたがここに居るのか、聞きたいのは私のほうですよ。」


とりあえず私の部屋に来てください、と誘ったのですけど書類を指差して「俺まだ仕事が・・・!」と、言いかけたので、「誘いを断れば憑依」と目で訴えたら、顔面蒼白で私に付いてきました。




死神輪廻



「で?どうしてボンゴレの10代ともいえるあなたがここに居るのでしょうか?何故死んでいるのですか?詳しく説明してもらいましょう。」


お茶を啜って沢田の様子を見ていると肩を窄め、私におびえながら様子を伺う。
おやおや、そんなに私が怖いですか?

「実は俺・・・。が死んで2年後にミルフィオーレが交渉の席を用意してくれたんだ。・・・でも行ってみたら交渉なんてなかった。部屋に入った瞬間・・・。」

そういい俯いて心臓付近を押さえる。
・・・そういうことですか。沢田綱吉はミルフィオーレを信じていたんですね。なのにミルフィオーレは殺した。
やはりマフィアという存在は取るに足らない。

白蘭とかいいましたか、あの方も何を隠し持っているかわかりませんね。


彼が死んだのは私が死んだ2年後。
こちらの世界ではきっと20年ほど経ったころですから・・・私が死神になった頃ですかね。

冥界道、一般人の死後の世界。
私や骸は今まできたことがなかったというのに。存在すら知らなかったというのに。
やはり一般人は当たり前に此処に来るようですね。
少し不思議な感じがします。

・・・私がここに来れても骸は此処には来れないでしょう。
まあ・・・私が現世から連れてくるか、骸が憑依するかどちらかをすればこれるでしょうがね。


「私が死んでからあなたが死ぬまで、何か変わったことはありませんでしたか?」
「うーん・・・。たぶんそろそろ過去の俺達がやってくるはずだよ。」
過去・・・ですか?と、眉をひそめて聞き返すと沢田綱吉はうなづいた。
「そう。現世の世界で言う・・・今から10年前の。」

10年、前?
私が死んで4年、そのマイナス10年ということは・・・。
ボンゴレリングの争奪戦があった時期ですか。

「・・・なるほど、ボンゴレリングですね。」

私達は沢田綱吉の命によりボンゴレリングを破棄した。
まあそれがこの現状じゃ、あだとなったのですけれど。


沢田綱吉たちがリングを手に入れた後に、この時代に来るのなればリングもこの時代にやってくる。
狙いはそれなのでしょうか?
やはり侮れないですね。


リング戦が始まる少し前、黒曜センターで沢田達と戦った時に復讐者に連れて行かれました。
脱獄も失敗しましたし、私達二人で囮になり犬と千種を逃がし、私達はやはりつかまってしまい光も届かない地下の部屋で双子で仲良く隣の水槽同士でホルマリン漬けにもなりましたね。

捕まったからといって私達の精神を捕まえることなんて勿論出来ないので、二人で精神の世界でひっそりと会い、散歩中に出会った凪・・・クロームを助けました。
彼女の内臓は私達二人の幻覚で作られているのです。


そして骸が沢田家光に霧のリングの守護者を頼まれ、自分ではなく私の解放と犬と千種の保護を頼んだ、というわけですが。
骸は相変わらずホルマリン漬けです。

私が死ぬ1年前に救出を試みましたが・・・体調の急激な悪化で失敗しました。

クロームの体を借りた骸と、ミルフィオーレのグロキシニアが交戦しましたが・・・。
それをも助けることが出来ないほど、体調が悪化していたのです。

そして翌年私が死んだわけなのですが。


「きっと昔の私はこの時代にはきませんよ。」
「え、どうして!?」
身を乗り出して私に聞いてきました。何か、まずいことでもあるのでしょうか・・・。

「リング争奪戦が終わった後、私達は日本から離れていますからね。実はあなた達には黙ってたのですが・・・。
見事復讐者の一人に憑依成功したのです。骸を助けようと復讐者に潜り込んだのですが、あと一歩のところで失敗に終わりましてね。日本に戻ってきたのは数年後ですよ?」


「そ、そうなんだ・・・。(この人何してたのーー!)」

「でも安心してください。その間リングはクロームに預けています。クロームさえこちらに来ればリングは集まるでしょう?」
「クローム!?」

「何を驚いているのですか沢田綱吉。骸の代わりのクロームは私の代わりでもあるのですよ?霧が務まるなら霞も務まるはずです。」

なぜなら私と骸は二人で一つですからね。といえば沢田も納得したようだ。
でも、出来ることなら10年前の私もこの世界に来てほしいと願う。

元気な頃の私なら、骸を助け出せるかもしれないですからね。
そして、死んだこの私も現世に出向き一緒に復讐者に行くというのも良いかもしれません。

「で?沢田綱吉、あなたは何番隊なのですか?」

全く予想が付きませんね。
リング争奪戦時から私が死ぬまでと、そしてそこから今まで。

数年でガラリと雰囲気も変わり強さも倍増したのは確かです。
やらねばいけないところではしっかりキメるという、さすがファミリーのボスという役割を担う人間だと思いますが・・・。
けれど元はダメ人間ですからね。
ドジといいますか、死ぬ気の時以外ではもう見てられません。

「俺・・・。」なんだかいいにくそうですね。
ここでは他の死神からも沢田綱吉の名前を一度も聞いたことなかったので、きっと彼は平隊員まっしぐらというところでしょうか?

二番隊では砕蜂隊長はキレるでしょうし。
三番隊ではなさそうですね。でも逆に三番隊だと超直感で市丸ギンにある違和感を取り除けるかもしれませんね。
四番隊は山田花太郎という前例が居るのでしっくりきますが・・・。
世界の大きなマフィアの10代目が四番隊という救護隊に居るというのは少し呆れます。


五番隊。藍染隊長も市丸ギンと同じにおいがするので超直感で何か探れたら楽しそうですね。
六番隊は・・・朽木隊長の性格からして無理でしょう。
七番隊・・・なんか違う。
八番隊かあ、七緒ちゃんにシゴかれそう。
九番隊の東仙隊長のとこなら正義感溢れてるし良いんじゃないでしょうか?
十番隊も、雰囲気は良いですよね。乱菊さんに可愛がられそうですが。
十二番隊は嫌です。
十三番隊の浮竹隊長のところも良いのではないでしょうか。

そうそう、私のところの十一番隊は・・・。

「沢田綱吉、あなたの斬魄刀は何ですか?」

「え?これだけど・・・。」

ちゃんと腰に挿していた刀は普通の形をしている。

「やっぱ俺死んでもボンゴレだって思ったんだよ。始解したら死ぬ気になって、斬魄刀もグローブになるんだ。しかも生きてたときと全く同じで技も同じように使える。」

・・・ということは?強さ健在ということですかね?
これは実に面白い。


「でも俺四番隊だから・・・全然使い道無いんだよな、はは・・・。」

頭をかきながら私にそういう沢田。
その能力を使えないのは非常に残念なわけですが。

「四番隊の何席ですか?」
「俺、平隊員・・・。」

やはりそうですか。

「沢田綱吉、私の居るところに来るつもりはありませんか?」

「えええ!は十一番隊だろ!?やっていける自信ないよ!ていうかそんなこと頼めるのお!?」

本当にころころと表情が変わる人ですね。

「はい、更木隊は強ければ良いんです。でも・・・斬魄刀それ、直接攻撃になるのですかね?まあ良いです。私これでも四席ですよ。」

「よ、よんせき!?十一番隊の四席ってすげぇジャン!」

「そりゃ私ですから弱いはずがないでしょう?私の斬魄刀はといいますと、始解をすると骸やクロームと同じ武器になりましてね。ですが契約自体は始解などしなくても出来るのですよ。くふふふふ・・・便利ですね。

この六道・・・いや、七道のスキルも実は斬魄刀の能力として使っているのですよ。卍解もオリジナルの解も習得済です。凄いでしょう?私って。」

「凄いね。(自分で言っちゃったよ)」

「あともう一つはこの眼帯です。この忌々しい目を不気味がる輩も少なくはありません。なので隠してるわけなのですけれど、この柄なのは一種のキャラ作りですね。」

キャラ作り?と私に聞き返そうとしたところでよく知った霊圧が私の部屋の前に現れて凄い勢いで部屋の扉を開けたので会話はソコで終了。

沢田綱吉は、部屋に入ってきたのが自信もよく知る更木隊の三席と五席だったので恐怖で緊張で顔を真っ青にした。

「おい!てめぇこんなとこで何サボってやがる!」
と怒鳴って拳骨を食らわせた。
「こらこら一角、に何てことするんだよ。」

沢田はソレを見て、ひいいい!と声を上げて後ずさりする。

(この人になんてことしてんのー!?俺達こんなことしたら絶対六道ツアーに招待されて一週間は魘されるよー!)
失礼なこと考えますね、沢田綱吉は。
私は叩かれた部分をさすりながら涙目で一角を睨む。

「痛いなあ!なんてことすんのよ!いきなり部屋入ってこないでよ!着替え中だったらどう責任取るつもり!?」

沢田綱吉、私のキャラの変化ぶりにさらに顔真っ青。
たしかに普段は敬語の私からは想像できないでしょうね。

「痛ぇじゃねえ!お前の着替えなんて見ても損するだけだろ!ほら、ソコの坊主も自分の隊に帰れ!」
「は、はははい!じゃ、!また!」
思い切り一角に睨まれた沢田綱吉はやはりチキンなようで、逃げてしまった。
せっかく隊長に紹介しようと思ったのですが・・・。

更木隊への恐怖、一角の顔、二人の名前、そして私への恐怖。

きっと此処へは近づきたくないっていうんでしょうね。
十一番隊に移隊するのは少し難しいかしら?きっと隊長の顔を見れば失神するでしょうね。
ザンザスよりも顔怖いですもの。

でも、なんとしても私と同じ隊に入れてみますよ。それほど私は彼の力を評価しているのですから。私には及びませんけどね。

どうせ四番隊でもパシリなのでしょう。
本当、是非他の死神に見せてあげたいですね、キングモスカを焼くほどのX BURNER AIRの凄さや零地点突破。

アレで霊圧さえあれば席官になれそうなんですが・・・。
あ、でも鬼道もダメそうですよね、

・・・攻撃力と正義感と仲間を思う気持ちだけはあるんですけど残念ながら。

二人で新しく隊を作れないでしょうか?
なら、私が知略や鬼道をカバーできるんですが。

あ、もしそうなれば隊長の座は譲りませんよ?
私のほうが20年も先輩ですからね!クハハハ!


・・・でも、どうして10年前から過去の私達がやってくることを知っているのか。
聞かないでおいたのは、私の優しさですよ?


感謝しなさい、沢田綱吉。



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