逃げるかのように学校を一週間くらい休んだ。頭の中で整理できない!!ねえ!なんで、居るの、何で居るの、これだけが頭を駆け巡って眩暈がしそう。もう、あたしの脳みその中は「何で」と「居るの?」っていう二つの単語しか考えられないんじゃないかってくらい考えた。なんとか落ち着いてみても出てくるのはヤンクミ関連。「何で今更ヤンクミが・・・?」としか出てこない。
隼人に焼きそばパン3個360円とか考えてる昔が懐かしくって、そのときの自分が羨ましい。あのときの自分に言ってやりたい!今からどん底に落ちるから焼きそばパンとか考えてる場合じゃないよーって!なんだか、本当、それなら前のゴリラみたいな担任のが良かったな。


でも、これ以上休めば卒業も危なくなるしみんなの機嫌だって損ねかねない。焼きそばパン10個とかに増えたら・・・1200円?カフェオレ5・・・いや竜いないから(寂しいよう)4人分のカフェオレで440円。合計1640円?わぁ、結構な出費。今から行けば学校にも間に合う。行かなきゃ、でも学校行く気にもなれない。

行こうか行かないか、行く用意はしてるくせに頭の中ではまだ迷っていた。どうせ、行くことになるのは分かってるけど、心のどこかで嫌がってる。どこかというか、全面的に。もういっそのことこのままやめてしまおうか。いや、それじゃあ駄目。



ココアを飲みながらなんとか朝食を取ってると,玄関のチャイムが鳴った。え、こんな時間に誰?すこし不審に思いながらも入り口の穴をのぞくと向こうから中が見えるはずもないのに穴をのぞいてる変な顔があった。それは紛れもなくわざと変顔をしてる隼人だった。

少し笑いながらドアを開けてあげるとさっきの変顔とはまた違った拗ねたような隼人の顔。「おはよ。中にくらい居れろよ」ちゃんと挨拶はしてくれるみたい。

うん、中に入って。そう言って二人で中に入った。そういえば、隼人が一人で家に来るの、凄い初めてかもしれない!(そう思ったら、柄にもなくちょっと緊張してるかも?)(いや、ありえない!)

隼人に適当に座らせてココアを作って出す。ココア好きなのよね、あたし。それも結構濃いの。


一通り用事を終えてから隼人の前に座る。時間は、思ったよりも過ぎてなくってだいぶと余裕がある。


「・・で?なんかあったの?」

「いやぁ、一昨日から竜が学校に来てさ。」

「え?!竜来たの?」


また、今まで休んでたことを怒られるのかと内心ビクビクしてたのに、全然思ってたことと内容が違う!え、ちょっと、竜が来たとか、信じられない。あたしが前あったときはあんなこと言ってたのに、またなんで?一昨日からってことはあたしは学校居ないし…。なんだか一瞬ととある悩みの種の女の顔が頭によぎった。

「なんか、山口が説得したっぽい。あー。なんかむかつく.!なんだよ山口。あいつ気にいらねぇ!」

やっぱり、竜を学校に来させたのはヤンクミか。あいつなら、やりかねない。ううん、絶対やる。ちょっとイライラしてる隼人に「あたしも、」と返す。


竜、あたしの説得では来なかったくせに。ヤンクミの説得で来たんだ。なんだか、さみしいかんじがする。隼人だって「山口うぜぇ」とか言ってるけど、多分そのうちヤンクミを本気で信頼するようになると思う。慎やウッチーのときみたいに、ぜったい。それが恐い。皆が離れて行きそうでこわいなぁ。

でも、だいじょうぶ!!こんどは信じたい。



「やっべ!遅刻しそう!おーい??そろそろ行こうぜ!あの女うるせぇし。」

「あぁ!悪い。行こうか。」

ボーっとしてるあたしを呼びかけて、あわてて椅子から立ち上がった。え、もうそんな時間?カップの中のココアを飲み干して少し急いで家を出た。(あ、本当に遅刻しそう。)



少し早足で学校に向かう。他愛の無い世間話のようなものをしながら足を進める。いまさら急いだって、無駄なんだけど。




校舎の中に入って、教室に入ろうとしたら、何か騒ぎ始めてる。

「何?喧嘩?」
「しんねぇ。」

隼人は、どうせ竜絡みだろうと思い特にかかわろうともしない。とりあえず、中に入ろうかってところで教室の中心で何かを叫んでいるタケがいた。中に入ろうと思って扉に手を伸ばしたが、隼人に制される。珍しく隼人が真剣なのでそのまま手を戻した。

中ではタケが竜のことを話している。それは紛れもなく隼人と竜の喧嘩の理由であって、誤解していたことだった。自分で弱虫って言ってるけど、タケは十分すぎるくらい立派だ。



「なぁ悪い、俺のかばん預かって。」

「は?!ちょ、待ってよ!」

隼人はあたしにかばんを無理やり押し付けてどこかへ走り出した。シーンとなってる教室にあたし達の騒いでたのが聞こえたのか教室の窓が開く音がした。そっちを振り返ると日向がポカーンとしてあたしを呼んだ。

こういうとき、どうすればいいんだろう!どうしよう、とおもって教室中を見渡すと久しぶりに竜が居て、それだけでうれしくなったけどそれど頃じゃないことに気が着いて。


「りゅ、りゅ竜!隼人が今の話聞いて走っていった!(何でこんなときにあたしは噛むんだ!)」

竜は、お得意のしかめっ面をして勢い良立ち上がり勢いよく教室を飛び出したからあたしは日向とタケとつっちーと4人で後を追った。


見失わないようにしてたのに、4人揃って遅くなった。結局倉庫にたどり着いたのは竜と隼人がボコボコになった後。そして、ヤンクミが相手を倒している途中だった。なんだか、複雑になったのはきっと気のせいじゃない。なんだか大事なものを奪われた気分。まだこれっぽっちも奪われたわけじゃないのに。



ま、とりあえず、隼人と竜の喧嘩も、無事解決して仲直りした。


河原まで出てくると、すでに外は夕日がかってて結構な時間使ったんだなぁ、と改めて思う。ふと隼人と竜のほうを見ると、隼人が竜に「ごめん」って謝っててさ。あたしは二人の元に駆け寄り、頭をくしゃくしゃっと撫でた。二人とも嫌そうにしてたけど、なんだか嬉しそうだった。あたしも嬉しいよ!前みたいに遊べると思ったら。



!」


呼ばれたから後ろを振り返ったら、ヤンクミが立っていた。今まで幸せな気分だったのに、一気にテンションが落ちた気がした。

「お前。何かあったのか?」

きっと、何か違うあたしに気がついたのか、それともいろいろと不審がってるのか。しらない、そんなの。しらない。
すぐに視線をそらして 何もないって答えるけどヤンクミはそれだけで終わらせてはくれない。

「昔みたいに元気じゃないぞ?昔なら、こんなとき一番はしゃいでたのはだろう?」

「別に・・」

「別にって事はないだろう?何があったんだ?沢田達ともうまくやってるんだろ?。昔みたいに・・」

沢田、だとか、昔、だとか。いまさらなこといわないでよ。何も知らないくせにあまりにもしつこく笑っているヤンクミにうんざりした。

「ほっといてよ!!今は今なんだってば!知らないんだから!」

思わず怒鳴ってしまった。この怒鳴り声で、騒いでたつっちーたちもシーンとなってあたしのほうを見ているのがわかった。ヤンクミも驚いた顔をして見ている。(やってしまった。)
あたしは居てもたっても居られなくって、帰る、と一言だけ残し帰った。


あたしは、まだヤンクミのことも許せてない。慎達とはもう会ってないし、連絡も取ってない。


あたしのことは

もう、放っておいて!!
(だけど、ちょっとだけ後悔してる)(慎に逢いたいなんて、いえない)