新しい担任ってどんなんだろー?なんだかちょっと楽しみにしてた。担任が変わるって普通じゃあ中々無いけど、3Dでは結構頻繁な感じ。
今回の担任はいじめ甲斐のある奴か、それともすぐに泣き出すのか。女と言う時点で、後者の気がする。いやぁ。でもあたしは女だし女同士だから遠慮もしないしどっちにしろいじめ甲斐が無くてもいじめるつもり。でも白鳥先生みたいな先生ならやる気めちゃくちゃうせそう。
ふぁ〜。眠たくってあくびがでてしまう。さっきからあくびしすぎて涙が出て軽くマスカラが取れそうだ。片手で口を押さえながら黒銀の校門に入る。
やっぱ、周りに誰も居ないのは、寝坊してもう朝のSHRが始まってる感じだから?校舎の横を通って3Dのとこに向かう。校舎の中ではまじめな生徒たちが前の先生を見てなんとなく話を聞いてる感じ。教室の中もきっと、キレイ。
いつも通りの道を通っていつも通り校舎へ入るのに、なんだろう?今日は何だか変な胸騒ぎがしている。風邪でも引いたか、見知らぬ誰かに恋をしたか?絶対ありえない。
久しぶりの登校だから緊張しているだけ、そう思いたい。そういえば、遅刻でさえ隼人は拗ねるのに、結構学校を休んでしまったから、だいぶ怒られそ。また昼ごはんでもおごって・・・いや、おごりとわかった瞬間奴はとてつもない量を頼むからまた焼きそばパン・・・3個くらい買おう。1個120円×3=360円。カフェオレひとぱっく110円。合計470円?
いやぁ、でももしかしたらいつの間にか横に居る日向がさりげなくコロッケパンを入れてくるかもしれないし、わあ!計算よくできない!もう、もしも横から日向が何かを紛れ込ませてきたら、あたしは全力で戦おう。(あ、教室の前着いた。)隼人がそんなに怒ってませんよう、に!と願いながら勢いよく扉を開けた。
「おっは、よ・・・。」どうやら、隼人はあたしじゃなくて前の先生を見てムスっとしてる感じ。というか、なんですかこの張り詰めた雰囲気は?あ!そういえば、新しい先生ってどんなんだろう?と、すぐに新しい先生を見た瞬間、目を疑った。あたしらしくもない。動揺、どうよう、DOUYOU。怖いくらい心臓が止まりそうになった。かばんを握る手に汗がにじんだ。うっすら冷や汗までかいた。
あたしが来たことで、さらに今の間抜け面したことで一気に緊張が緩んだ模様。「おいー!遅い!」ってゆう隼人の拗ねた声だって、あたしの耳に届かない。焼きそばパン、何個だっけ?あぁ、3個?いくらしたっけ?--わからない。
新しい先生も、こっちを見て驚いた顔をして。「・・・?!」なんて言っちゃってくれる。
と、目をむいて名前を呼ぶ。ほんとう、何、ねぇ、何のドッキリ?
教卓には、あたしがこの世で一番嫌いだけど、なんとなく一番大好きだった先生が立っていた。
でも心を占める感情の割合は、99%の怒り。1%の動揺。
思わず名前を呼びそうになったけど,辞めておいてここは、ひとまず冷静に。
感情を抑えるために隼人達の方を見た。
「何?こいつと知り合い?」
そう聞かれたけど
「しらない、よ?」
できるだけ自分の中の動揺を回りに悟られないように首をかしげた。
あたしにしかわからないくらいだけど少し、少し声が震えていたかもしれない。
ヤンクミはこんなあたしの気持ちも知らないで。
「・・どうしてお前がここに!?」
誰ですか?初めまして
もし、そう言ったとしても名簿には名前が載ってるし
この特殊な目の色があるから違う人物は作れないし。
聞かれても、一応皆には留年してるとか、退学してるとか内緒にしてあるから
ここにいる経緯を話せないし話そうとも思わない。
結局あたしがとった最終手段は。
「・・・あたし帰る。」
来たばっかりだったけど帰ることしかできなかった。
頭の中を整理したい。
なんで?ねえ、なんで??
□□□
「ーーー!」
3Dの校舎からでたところで後ろから声がかかる。
後ろから隼人達が追いかけてきてたのだ。
立ち止まって、隼人たちがここまで来るのを持ってみる。
「なぁ、どうしたの?」
心配そうに聞いてくるタケ。皆同じ事を聞きたそうな顔だ。
そりゃあ、あたしがあんな態度を取るなんて珍しいもんね。
まだ、皆にはいえない。
「思った以上に弱そうでつまんないから帰っただけだよ。」
心配かけないように、とあたしがそういうと皆笑った。
うん、違う。
あたしの知り合いの中で、一番強いのはヤンクミで。
ただ単にあたしは逃げただけだってことも自覚してる。
「よし!隼人のおごりでラーメン食いに行こうぜ!!」
少しくらい雰囲気を壊すように、日向がそういった。
こういう時って、本当に日向やつっちーのキャラがうれしく感じる。
ううん、深く聞いてこない皆の性格が、だいすきで。
「まじかよ・・!!」
でも、「おごれ!」と言われた隼人の顔は尋常じゃないくらい引きつって
それどころではなかったと思う。
隼人の奢りなんて、滅多に無いからもちろん行くことにした。
「美味いラーメンやあるんだよな!」
ツッチーがそういうと、皆もそこを知ってるらしく「あそこかー!」とうなずき始めた。
そんなにおいしいなら盛大に食ってやる!
期待に胸を膨らませつつ、かなりノリ気で皆に着いていった。
――――が!!!!
見覚えのある道、見覚えのある風景に、見覚えのある看板
懐かしすぎて、目前さえ感じた。
看板を見上げてため息をつく。
熊井ラーメン
熊井ラーメンにはもちろんのことクマが居る。
ばれたら正味色々まずい。正直白金メンバーには会いたくない。
どうしよう、どうしよう。
「?早く行こう〜」
立ち往生していると、タケがあたしを引っ張る。
強制的に店内に入っていく。あぁ、今すぐにスーパーマンに助けられたい。
「いらっしゃ・・・・い・・?・・?」
とだんだん小さくなっていくクマの声が聞こえる。
顔は明後日の方向向いてるために、今彼がどんな表情をしているかなんて、わからない。
きっと2年前なら「やっほー☆」とかって、星を飛ばして言えるんだろうけど。
どうしてもそんな言葉なんて出なくって、笑顔さえも手遅れで。
「はは・・」
今できることは、引きつった顔をして軽く流して一番目立たない席に座ること。
笑ったつもりが、ただの引きつった顔にしかならないのは、過去のトラウマ。
昔は、本当に明るく笑えたのに。
「何?知り合い?」
今日、朝の教室でも聞かれた言葉。
もう、勘弁してよ!
「知り合いも何も・・・」
ってクマが言いかけた瞬間「さぁ?」という。
この言葉もあたし、教室で言った。
クマがどんな顔してるのか恐いので,目線と顔はクマと逆のほうに向ける。
絶対あたしは怪しい。皆の頭にははてなが浮かんでると思う。
でも、そうでもしないと、無理!
一通りラーメンを注文したところで、皆で会話する。
皆話してる中,あたしはただひたすら黙っていた。
クマは、ラーメンを作りながらあたしを見ている。
“あの頃”と別人のようなあたしを見て不思議に思ってるんだろうか。
そんなの、しらない。
変わってないラーメンの味に、少し懐かしさを感じた。
・・・変わったのは、周りの人間。そしてあたしだけ。
勘定も終了して店を出て行くとき
「またこいよな!!」
って見送ってくれて。
懐かしさで心があふれる。
クマの顔を見ないようにして出て行く。
本当に、今日は逃げてばっかり。
本当は、楽しく話したりしたんだけど、さ。
白金のメンバーには、もう、懲り懲りなの。
□□□
「・・・あ。うっちー?俺だけど・・。」
達が帰った後、クマはあるところに電話した。
『あ。クマか。久しぶり〜!今野田も南も横に居るぜ!』
電話の受話器の向こうから懐かしい声が聞こえる。
久しぶりの名前に、懐かしさがこみ上げた。
うっちーの後ろで野田や南のにぎやかな声が聞こえる。
「それどころじゃねぇよ!今さ俺の店にさ。来たんだ!」
「、が・・・?」
いきなりシーンとする。
後ろで騒いでた二人だって、「」という名前が出てきた瞬間
今までにぎやかだったのに怖いくらいに静まり返った。
に連絡とろうとしても繋がらない。皆不安になってたのも事実。
『、どんなんだった・・?』
「黒銀の連中と一緒に居た・・・!なぁ!って去年白金卒業したはずだよな??
なのに、何でか制服来てんだよ!」
『留年したとかか・・?あと何?』
「元気なのは元気なんだろうけど、さ。
1回も笑わねぇ。目も合わせねぇし口もきかねぇ。
全然・・・違う。』
『・・・そっかまぁ、報告サンキューな。俺もまたあいつ見かけたら声かけてみるよ。』
「わかった。野田達にも宜しく伝えといてくれよな!」
クマと電話を切ったうっちー。
その横に居た野田と南も今の会話を聞いてなんだか心配になった。
少しの沈黙があって最初に口を開いたのは内山。
「これって慎にも言うべき・・?」
って二人に問い掛けると、南は
「・・・さぁ・・・?」
と答えて、野田は
「今度会ったときでよくね??」
と答えた。内山も「そうだな・・・」と返事して、またいつもみたいな調子に戻って行った。
なぜなら・・・。
[そんな、考えられねぇ!]
口には出さなかったが、3人の考えは、一致していたからだ。
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